マイナンバーでどう変わる?私たちの暮らし(株式会社Olympic様株主向け雑誌に掲載されました)

2016年1月から始まるマイナンバー制度。10月から、国内に住むすべての個人と企業に固有の「マイナンバー」を通知する「通知カード」が発送されています。マイナンバー制度が開始されると、現在は複数の機関で別々に管理されている情報を共通の番号によってひもづけて、同じ人の情報であることを確認できるようになります。

制度開始後は、顔写真とICチップ付きの「個人番号カード」が発行されます。お手元に「通知カード」が届いたら大切に保管し、来年1月以降にお住いの市区町村の窓口などで個人番号カードと交換しましょう。

■マイナンバーはどんなシーンで使う?

マイナンバー制度が初めに導入されるのは、社会保障、税、災害対策の3分野です。具体的には、公的年金の資格取得や確認、給付の手続き、雇用保険の資格取得や確認、給付の手続き、ハローワークでの事務手続き、健康保険などの保険料の徴収、生活保護の給付、確定申告、災害が起きたときの被災者の生活再建支援金支給などで活用されます。2015年末ごろからは、税金や年金、社会保険にかかわる書類に、ご自身の個人番号の記入を求められることが出てくるでしょう。お勤めの方は、職場に個人番号を伝え、源泉徴収票などに記載されるようになります。株式取引においては、証券口座の開設、保有のために、証券会社へマイナンバーを通知する必要も出てくる見込みです。

■行政手続きで住民票が不要に

2017年からは、私たちの暮らしでマイナンバーが便利に使えるようになります。個人番号カードは本人確認用の身分証として利用でき、自治体の窓口で提示すれば、これまで必要だった公的な添付書類が不要になります。たとえば現在、児童手当の申請などには、源泉徴収票や所得証明書、住民票などを提出しなければなりませんが、これがいらなくなります。ほかにも、NISA口座・ジュニアNISA口座・特定口座の開設、住宅ローン控除の利用、引越しの転居手続きなどが、個人番号カードによって簡単にできるようになります。株式取引で配当を受け取るとき、生命保険の保険金を受け取るときなどにも利用されます。

■インターネットで転居手続きができる

ご自身が利用できる行政サービスなどを確認できるインターネットのシステム「マイナポータル」も、2017年に始まります。自分の個人専用ページで、自分が受給できる給付や手当の情報、お子さんの予防接種の時期、税金や社会保険料の納付状況などを確認できるようになります。引っ越した際には、自治体への転居届、電気・ガス・水道・クレジットカードの住所変更が一度に行える「ワンストップサービス」もできるようになる予定です。

■個人番号カードの管理は厳重に

便利なマイナンバー制度ですが、注意点もあります。10月に届く通知カード、来年1月から発行される個人番号カードともに、個人情報にひもづく大事な番号が記載されています。クレジットカードやキャッシュカードと同じように、なくしたり捨てたりしないように、大切に保管しましょう。他人に番号を教えたり、カードを貸したりするのも危険です。

国民生活センターによると、全国ではマイナンバー制度に絡む不審な電話や詐欺被害が相次いでいます。マイナンバーのトラブルと称して、銀行の預金口座の番号や個人情報を聞き出そうとする不審な電話もあるようです。安易に相手に個人番号は教えず、おかしいなと思ったときには、速やかに最寄りの消費生活センターに相談しましょう。

※この記事は、株式会社Olympic様の株主向け冊子Kosaten:巻末エッセイ『時代を読む』に掲載されました。
掲載元様の許可を得て配信しています。

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マネーステップオフィス編集部
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