【2022年2月】 3分でわかる今月のマネートピック

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今月のマネー・健康関連の主要トピックを、わかりやすく3分で解説します。

目次

75歳以上の窓口負担割合が一部変更 一定の所得がある場合は2割負担へ

病院を受診した時などの医療費自己負担割合は1~3割と年齢ごとに異なります。2022年10月より、75歳以上のうち、所得の高い人の自己負担割合が引き上げられます。

75歳以上の高所得者は医療費の自己負担2割に

現在、75歳以上の後期高齢者は、自己負担割合が1割の「一般所得者等」と、自己負担割合が3割の「現役並み所得者」の2つの区分に分けられています。今年の10月、「高齢者の医療の確保に関する法律」の改正により区分が3つになり、一定以上所得のある人は自己負担割合が2割になります。

2割負担になるのは、課税所得が28万円以上かつ「年金収入+その他の合計所得金額」が200万円(単身の場合)以上の人。夫婦など2人以上世帯の場合は年収320万円以上です。今年8月頃に、前年(2021年)の所得を基に判定を行い、該当者には9月頃に新たな保険証が送付される予定です。

対象者には外来での窓口負担を抑える配慮措置が3年間適用される

自己負担が上がることで経済的な負担が大きくなる人への配慮措置もあります。2025年9月30日までの3年間は、外来受診時、1割負担時の負担額と比べた時の増加額が1カ月当たり3,000円までに抑えられます。3,000円を超える分については、同一の病院での受診時には支払いは不要になります。複数の病院へ通院していた場合は、後日払い戻されます。

<出典URL>
厚生労働省「高齢者医療制度」
厚生労働省「令和3年度制度改正について(後期高齢者の窓口負担割合の変更等)」


4月から不妊治療が保険適用へ 当事者の期待と気がかりは「治療費」

2022年4月から、不妊治療の一部が保険適用されます。これまで多くの治療が全額自己負担で、子どもを望む人が治療を受けるときに経済的な負担になっていました。保険適用されることで、患者の自己負担が3割になり、医療機関によりまちまちだった料金が国によって統一されます。

不妊治療の一部が保険適用へ

4月から、公的医療保険の適用対象になる不妊治療が広がります。特に高額になりやすい体外受精や顕微授精、男性側の不妊治療の一部も対象で、これまで全額自費だった患者の負担は3割になります。

保険適用により、治療中に受ける検査や技術それぞれに全国一律の診療報酬が設定されます。たとえば、採卵術は基本3万2,000円、体外受精での管理料は基本4万2,000円など。実際には治療・技術の組合せにより費用負担が決まりますが、厚生労働省の調査によると自費診療での合計費用は平均50万円で、それよりも抑えられるケースが出てきそうです。

現行の補助制度は終了予定 年度またぎの治療には経過措置も

現在、不妊治療のうち体外受精と顕微授精は自費診療であるかわりに、治療開始時に妻が43歳未満までの夫婦に1回30万円を補助する自治体の助成制度があります。助成は今年度末までの予定になっていますが、この制度を利用している人の不妊治療が4月以降まで続いても、助成は受けられるようです。

不妊を経験した人を支援するNPO法人「Fine」の調査によると、不妊治療が保険適用されることで、治療費が安くなることを期待する人が9割を超える一方で、助成金がなくなることに不安を感じる人も多くなっています。

<出典URL>
厚生労働省「不妊治療の実態に関する調査研究 最終報告書」
厚生労働省「令和3年度厚生労働省補正予算案(参考資料)」
NPO 法人 Fine「不妊治療の保険適用に関する、みんなの意見募集」より


雇用保険料が引き上げの見込み 4月、10月に2段階で

4月から、働く人が加入する雇用保険料が引き上げられます。雇用保険法の改正案が閣議決定されたことによるもので、年度内に2段階で引き上げられる予定です。このうち4月の引き上げは事業主負担分のみで、働く人の負担が増えるのは10月からです。

雇用保険料率が4月に+0.05%、10月に+0.4%引き上げ

雇用保険は失業保険や育児休業給付などのために、働く人が加入する公的保険で、保険料の負担は事業主と従業員が分担します。

4月から、このうち企業のみが負担する部分が0.05%引き上げられます。また、10月には労使で折半する部分が0.4%引き上げられます。働く人の給与から天引きされる雇用保険料は、4月には変更ありませんが、10月からは増えることになります。月収30万円の人の場合、9月までは900円ですが、10月以降は1,500円に上がります。

引き上げの背景にはコロナ禍での雇用対策

雇用保険料が引き上げられる背景には、新型コロナウイルス感染症に関連した雇用対策にかかる財源不足があります。コロナ禍での休業にともない、企業が従業員向けに手当を支給する際に補助される「雇用調整助成金」の利用が多く、財源を確保する必要に迫られています。

<出典URL>
厚生労働省「雇用保険法等の一部を改正する法律案(令和4年2月1日提出)」
厚生労働省「第166回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会 雇用保険部会報告(案)」

(文:年永亜美/WEBサイトTwitter