【2022年11月】 3分でわかる今月のマネートピック

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総務省が携帯電話新料金プラン移行動向を公表 プラン移行後の料金は平均2,000円安くなる

総務省は11月2日、携帯電話事業者が提供する低価格なプラン(以下、新料金プラン)への移行動向を公表しました。2022年9月末時点で、新料金プランの契約数は約4,520万を突破し、携帯電話契約総数の約3割相当を占めています。

2021年から各社が新料金プランの提供を開始 総務省のアクションプランを背景に

携帯事業者各社は、2021年ごろから相次いで新料金プランの提供を開始し、価格競争が激化しています。この背景には携帯電話やスマートフォンが普及し、社会経済活動を支える重要インフラとして定着してきた一方で、通信契約の約9割を大手3社が独占している現状を受け、国がモバイル市場の公正な競争を促していることがあります。令和元年には電気通信事業法が改正され、総務省は「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」を公表し、通信各社に対してわかりやすく低価格な料金プランの提供を求めていました。

プラン乗り換えで通信料金が「安くなった」人が半数以上

同調査によると、新料金プランを利用することで通信料金が安くなったと回答している人は52.1%と、半数以上となりました。
安くなった人の中では、乗り換えによる料金の変化は平均約2,000円/月で、500円~1,000円未満が最も多くなっています。また、最大で5,000円以上安くなった人もいるようです。

一方で、新料金プランへの乗り換えるつもりがないという人も3割近くおり、特に年齢が高くなるほどその傾向があるようです。乗り換えを考えていない理由は「特にない」人が最も多く、次いで「現在利用している料金プラン内容に特に不便を感じていないから」が多くなっています。

<出典URL>
総務省「新料金プランへの移行状況」
総務省「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」


食品、電気料金、公共交通機関運賃 2023年も値上げが続く見込み

2022年は日常生活に欠かせない食品などの値上がりが相次ぎました。また、毎月かかる電気料金や、公共交通機関の運賃などにも及んでいます。各種値上げは年内にとどまらず、2023年も継続する見通しです。

2022年に値上げの食品は約2万品目に 平均値上げ率は14%にのぼる

帝国データバンクの調査によると、食品は2022年10月末時点で累計約2万品目が値上げされました。また、1000品目以上の値上げがあった月が1年の半分以上あり、特に10月は6,699品目と値上げ品目数が年内最多となりました。11月・12月も、調味料や乳製品などで値上げが続く見込みです。

値上げ幅は年間平均14%。品目によってはそれ以上の値上げ率となっているものもあります。

電気料金や公共交通機関の運賃などにも値上げの波

食品以外にも値上げの波が及んでいます。

2022年11月には東北電力・北陸電力・中国電力などが2023年4月の電気料金の値上げを発表しました。電力自由化以前からのプランなどに適用されている規制料金と、電力自由化後のプランなどに適用されている自由料金どちらも値上げされる見込みです。契約者の多い規制料金では、東北電力・北陸電力などで値上げ幅が3割を超えます。

公共交通機関でも運賃の値上げがあります。東京都内の一部区間では11月14日より、タクシー初乗り料金が420円から500円、初乗り距離以降に加算される加算額は80円から100円に改定されました。タクシー運賃の改定は、平成19年以来、15年ぶりです。

原材料費高騰や円安が値上げの背景に

これらの値上げの背景には、ウクライナ情勢や燃料価格の高騰、一時1ドル150円台まで進んだ円安などが背景にあるとされています。こうした要因は2023年も続くと見られ、今後の各種値上げに影響する可能性があります。

<出典URL>
帝国データバンク「今日から値上げ、「パック牛乳」など833品目 来年値上げ、早くも2000品目超え 円安要因」
東北電力「電気料金の値上げについて(低圧)」
北陸電力「2023年4月からの電気料金改定について」
中国電力「低圧部門の規制料金等の見直しについて」
国土交通省「令和4年11月14日より東京特別区・武三地区のタクシー運賃が変わります。」
経済産業省「原材料価格、エネルギーコスト等の上昇に係る適切な価格転嫁等に関する下請事業者等に対する配慮について経済産業大臣名の要請文書を発出しました」


紹介状無しで大病院受診時にかかる「特別の料金」が10月から引き上げ

一定以上の規模を持つ病院を紹介状なしで受診した場合にかかる「特別の料金」の金額が、2022年10月から引き上げられました。紹介状なしで初診を受けた場合や、紹介状で指定された以外の病院を受診した場合、受診にかかった医療費以外に数千円の「特別の料金」がかかります。

一般病床200床以上の病院を紹介状なしで受診するとかかる「特別の料金」

「特別の料金」は、高度な医療技術の提供や開発などを行う特定機能病院や、入院患者用の一般病床が200床以上の地域医療支援病院で徴収されるもの。金額は国が定める最低金額以上で、各病院が決めています。

10月から「特別の料金」の最低金額が以下の通り引き上げられました。
【初診】
医科 5,000円以上→7,000円以上
歯科 3,000円以上→5,000円以上
【再診】
医科 2,500円以上→3,000円以上
歯科 1,500円以上→1,900円以上

緊急の受診時などには「特別の料金」対象外

ただし、以下のケースの場合には、「特別の料金」の徴収対象外です。

・救急搬送などで受診した場合
・感染症などの治療での受診者や生活保護受給者など、国・地方の公費負担医療制度の受給対象者
・低所得者などの無料定額診療事業の対象者
・HIV感染者(エイズ拠点病院の場合)

また、病院内の他の診療科から院内紹介を受けて受診した場合や、特定健診・がん検診などで精密検査を受けるよう指示されて受診した場合なども「特別の料金」対象外としている病院もあるようです。

病院や診療所の使い分け勧奨が目的

「特別の料金」徴収には、大規模病院などに外来患者が集中することを防ぐ狙いがあります。現在、一部の病院に患者が集中することで、受診までの待ち時間の長時間化や医師の外来診療の負担増加などが起きているといわれます。まずは地域の中小病院や診療所などかかりつけ医を受診し、必要な場合に紹介状を持って大規模病院を受診する流れを作ることで、スムーズに医療を受けやすくなることを目指しています。

<出典URL>
厚生労働省「紹介状を持たずに特定の病院を受診する場合等の「特別の料金」の見直しについて」
厚生労働省「医療機関の機能・役割に応じた適切な受診を行うようお願いします。」

(文:年永亜美/WEBサイトTwitter