所得税の「年収の壁」が160万円から178万円に引き上げ 物価に連動した控除額調整の仕組みも創設

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財務省は、令和8年度税制改正大綱にて「年収の壁」の見直し案を発表しました。「年収の壁」は160万円から178万円へ引き上げられる見込みです。また、物価高の対応などを目的として、物価に連動した控除額調整の仕組みも創設されます。

年収178万円まで課税対象外に。物価上昇に合わせて給与控除が引き上げられる仕組みも創設

今回の税制改正大綱では、所得税の課税最低限を年収178万円まで特例的に先取りして引き上げることとなりました。所得税がかからない「年収の壁」は令和7年度に160万円に引き上げられたところですが、さらに18万円引き上げられます。

また、物価高に対応した税控除の新しい仕組みも創設されます。
新しい仕組みでは、基礎控除と給与所得控除の最低保障額について、2年に一度、消費者物価指数(総合)の上昇率に合わせた調整を行うことになりました。

この仕組みが適用された場合、消費者物価指数(総合)の上昇率が6.0%であることを踏まえ、基礎控除額(本則)と給与所得控除の最低保障額がそれぞれ4万円、合計8万円引き上げられます。
さらに、令和7年度時点での三党合意も踏まえた変更として、基礎控除の特例(最低37万円)と給与所得控除の最低保障額それぞれ5万円の引き上げも行われるため、令和8・9年度の控除額は以下に引き上げられる予定です。

令和8・9年度の控除額(給与収入475万円相当までの場合)
基礎控除(本則):62万円(変更前:58万円)
基礎控除(特例):42万円(変更前:37万円)
給与所得控除の最低保障額…74万円(変更前:65万円)

この変更は令和8年の年末調整から適用される予定となっています。

年収178万円までは所得税の課税対象外 課税対象の世帯では中低所得者の負担が軽減

基礎控除と給与所得控除は、所得税の算出時に適用される控除です。
総所得から基礎控除を差し引き、給与などの収入から給与所得控除を差し引いた後の金額が一定以下であれば、所得税はかかりません。
所得税がかかるかどうかの金額がいわゆる「年収の壁」の一つであり、今回の変更により年収178万円までであれば所得税がかからなくなります。

この改正は、物価高により負担が増えた中低所得者層への配慮を含む内容でまとめられました。
三党合意による引き上げは令和8年・9年度の時限措置とされていますが、今後も何らかの特例措置によって178万円のラインを維持し続ける方針としています。

<出典URL>
財務省「令和8年度税制改正の大綱」
財務省「基礎控除等の引上げと基礎控除の上乗せ特例の創設」
国税庁「基礎控除」

(文:年永亜美/WEBサイトTwitter

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マネーステップオフィス編集部