新型コロナの緊急小口資金などの特例貸付 受付が11月まで延長 累計貸付額は1兆円を突破

写真:photoAC

新型コロナウイルス感染症(新型コロナ)の影響により休業や失業をした人が受けられる、緊急小口資金などの生活福祉資金の特例貸付の受付期間が延長されました。今年の8月末から、11月末までになります。

特例は新型コロナの影響で収入が減少し、生活に困窮している人向けの貸付制度で、2020年3月の特例措置開始以来、これまでに約300万件、累計1兆円以上の貸付が行われています(※1)。

コロナによる特例で対象が拡大した生活福祉資金貸付

生活福祉資金は、所得が低い人や高齢者、障害のある人を経済的に支えるために資金を貸し付ける制度。通常は所得水準が住民税非課税程度であるか、障害者手帳を持つ人などが対象になりますが、2020年3月以降は新型コロナの影響に鑑みて、低所得世帯以外まで対象を拡大しています。特例により、新型コロナ拡大により仕事を休業した人、失業した人も所定の要件を満たすと対象になっています。

また、貸付上限額の引き上げ、返済が猶予される据置期間の延長、所得減少が続く人への返済免除などの特例措置も取られています。

「緊急小口資金」と「総合支援資金」の2種類

生活福祉資金貸付制度には、一時的に生活費などの支払いに使う少額な資金が必要な人向けの「緊急小口資金」と、生活を立て直すまでの一定期間、継続的に資金が必要な人向けの「総合支援資金」の2種類があります。

緊急小口資金はおもに休業した人向けの貸付で、貸付の上限が1世帯10万円から、特例により20万円まで引き上げられています。返済期限も、従来の12カ月以内から2年以内に拡大しています。

総合支援資金はおもに失業した人向けの貸付で、仕事が見つかり生活再建できるまでの生活資金として、単身世帯では月15万円、2人以上の世帯では月20万円を貸付するものです。原則3カ月以内まで借りられます。従来は低所得世帯のみ利用できましたが、新型コロナの影響で失業した場合や、収入が減少して生活が困難になっている人も利用できるようになっています。また、通常は保証人がいない場合には年1.5%の利子がかかりますが、コロナの特例による利用であれば保証人不要、無利子で利用できます。

これらの特例貸付について、今年8月末までの累計貸付申請件数は約276万件、累計貸付決定額は1兆円を突破しています。

貸付申請期間が2021年11月末までに再延長

特例貸付は期間限定の措置ですが、コロナ禍の長期化により多くの申請が続いていることから期間の延長が繰り返されています。2021年8月にも再延長が決定し、直近では8月末とされていた期限が現在は2021年11月末日までに延長されました。

貸付申請件数は引き続き増加傾向にあり、現在も1週間で2万件~3万件の貸付申請が行われています。

申請や問合せ先は、お住まいの市区町村社会福祉協議会です。

※本記事は情報提供を目的としたものです。具体的な詳細・申請・ご質問は、最寄りの社会福祉協議会にお問い合わせください。

生活福祉資金貸付制度とは

生活福祉資金貸付制度は、各地域の福祉協議会が主体となって受付、実施している制度です。総合支援資金、福祉資金、教育支援資金、不動産担保型生活資金の、4種類の資金貸付を行っています。 通常時は、市町村民税非課税などの低所得世帯や、障害者手帳の交付を受けた人のいる世帯、65歳以上で介護を要する高齢者などのいる世帯が対象です。2021年9月現在は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を鑑み、特例措置として総合支援資金と福祉資金のうち緊急小口資金について、特例での貸付を実施しています。

<出典URL>
※1 厚生労働省「オープンデータ」
※2 厚生労働省「生活福祉資金の特例貸付 制度概要」

(文:年永亜美/WEBサイトTwitter