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■iDeCoの加入要件が拡大 5月から60歳以上の加入も可能に
■貯蓄平均は1880万円 3年連続増加も3分の2の世帯が平均を下回る 2021年度家計調査報告結果
4月から年金額支給額が引き下げ 国民年金保険料も引き下げ
令和4年度から、年金額が改定されました。6月に支給される4月分の国民年金と厚生年金について、支給額が前年度比0.4%引き下げられました。
国民年金は満額で月64,816円 前年度比259円減
改定により今年度の年金額は0.4%引き下げられ、国民年金は満額で月64,816円(前年度比259円減)、厚生年金は平均的なモデル世帯の夫婦で月219,593円(前年度比903円減)になります。年金額の引き下げは2年連続です。6月15日に支給予定の令和4年4月分から適用されます。
また、年金に上乗せして給付される年金生活者支援給付金の基準額も引き下げられ、月額5,020円(障害年金の場合は1級6,275円、2級5,020円)と、前年に比べて約10円減額されます。
年金額の改定は、賃金と物価の変動率に応じて毎年度行われています。総務省が発表する消費者物価指数によると、賃金の変動幅を表す名目手取り賃金変動率がマイナス0.4%となったことから、年金額も同様に減額改定されました。なお、現役世代の人口と平均余命のバランスに応じて年金額を調整するマクロ経済スライドは、賃金や物価による改定率がマイナスの場合には行われません。このため、今回の改定ではマクロ経済スライドによる年金額調整は行われません。
国民年金保険料は16,590円に引き下げ
現役世代がおさめる国民年金保険料も引き下げられました。令和4年度の年金保険料は16,590円で、前年度比20円減少しました。こちらも賃金と物価の変動によって毎年度改定されており、今年度は上述のようにいずれもマイナスのため減額されました。
令和5年度の年金保険料も、16,520円とさらに減額されることが決まっています。
<出典URL>
厚生労働省「令和4年度の年金額改定についてお知らせします ~年金額は昨年度から0.4%の引き下げです~」
日本年金機構「令和4年4月分からの年金額等について」
iDeCoの加入要件が拡大 5月から60歳以上の加入も可能に
2022年5月からiDeCo(個人型確定拠出年金)の加入要件が拡大されました。これまで加入できるのは60歳未満まででしたが、これが65歳まで引き上げられました。60歳以降も企業に勤めて厚生年金に加入している人や、国民年金に任意加入している人も加入できます。
会社員・公務員は65歳未満まで加入可能
これまで、会社員や公務員は60歳になるとiDeCoの加入者から外れ、掛金の拠出ができませんでした。これが今回の改正により、厚生年金・共済に加入している人は65歳未満までiDeCoへの加入が続くようになりました。年金の加入期間が120月未満の場合には、65歳以上でも加入できます。
自営業・専業主婦(主夫)も65歳未満まで加入可能に
自営業・専業主婦(主夫)などの国民年金第1号・第3号被保険者も、65歳未満までの加入が可能になりました。原則の加入期間はこれまで通り60歳までですが、金融機関で手続きすることで、60歳以降に任意で加入することができます。すでに加入している人も、iDeCoを継続する場合には金融機関での手続きが必要です。
10月には企業型DC加入者もiDeCo加入が可能になる
今年はさらに、10月にもiDeCoの改正が実施されます。これまで、企業型DC(企業型確定拠出年金)に加入していて、会社の規約によりiDeCoへの加入ができなかった会社員も、一定の要件を満たしていればiDeCoへ加入できるようになります。
加入は、企業型DCとiDeCoの掛金が合計で月額5.5万円(厚生年金基金など他の確定給付型制度に加入する場合は2.75万円)以内であることや、企業型DCのマッチング拠出を利用していないことが要件です。
<出典URL>
iDeCo公式サイト「2022年の制度改正について」
厚生労働省「令和4(2022)年5月からiDeCoに加入できる年齢の要件などが拡大されます」
貯蓄平均は1880万円 3年連続増加も3分の2の世帯が平均を下回る 2021年度家計調査報告結果
総務省は5月10日、2021年度「家計調査報告(貯蓄・負債編)」の結果を公表しました。2人以上の世帯における貯蓄現在高平均は1880万円(前年比89万円増)で3年連続の増加、負債現在高は567万円(前年比5万円減)でした。
世帯の約7割は貯蓄額が平均以下
貯蓄の平均は高くなった一方、平均を下回る世帯が多く、偏りが見られます。貯蓄額の中央値は1,104万円と、平均より約780万円少ない結果となっています。全体の67.6%の世帯が平均を下回っており、その中の10.5%が「100万円未満」でした。
貯蓄の種類は預貯金が半分以上を占めています。普通預金などの通貨性預貯金が584万円(前年比28万円増)、定期預金などの定期性預貯金が615万円(前年比8万円増)でした。通貨性預貯金は13年連続、定期性預貯金は7年ぶりの増加でした。
50代を区切りに貯蓄額に格差 年金世帯は2,000万超も
貯蓄額は年代によっても差がみられます。世帯主が50歳未満の世帯は貯蓄現在高が平均を下回っており、40歳未満の勤労世帯は726万円と特に少なくなっています。
一方で50歳以上の世帯は平均と同程度かそれを上回っています。特に60~69歳の年金世帯は2,537万円と、最も多い結果となりました。
負債現在高は前年より減少
負債額の平均は567万円で、前年比5万円減でした。負債がゼロの世帯が6割を超えており、平均額が大幅に引き下げられたようです。負債を保有している世帯のみで見ると、負債の平均額は1,505万円、中央値は1,233万円でした。 負債の種類は住宅ローンなどの住宅・土地のための負債が最も多く、90.5%を占めています。
<出典URL>
総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2021年(令和3年)平均結果-(二人以上の世帯)」