来年度から出産育児一時金が50万円に増額 厚労省の審議会で了承

写真:PhotoAC

2023年4月から、出産したときに支給される、「出産育児一時金」の増額が決まりました。12月10日に実施の岸田首相会見で子育て支援政策の一つとして発表され、12月15日の厚生労働省社会保障審議会で了承されました。

出産育児一時金は42万円から50万円へ 8万円の増額は過去最高の引き上げ幅

出産育児一時金は現在、子ども1人あたり42万円です。2023年4月以降は全国一律で50万円へ引き上げられます。8万円の増額で、出産育児一時金制度が開始して以来最高の引き上げ幅となる見通しです。

今回の増額分の費用については、75歳以上の人が対象となっている後期高齢者医療制度の保険料から充当する予定としています。財源確保のため、2024年以降に一定以上の所得のある高齢者の保険料負担を見直すとされています。

平均出産費用は年々増加傾向 令和3年度は47.3万円

出産費用は年々増加傾向にあります。全国の平均額は約10年間で43.3万円から47.3万円へと増額しています。そのため、人によっては出産育児一時金だけでは出産費用を賄うことができず、一定の自己負担が必要な状況が続いていました。

今回の見直しは、こうした状況をふまえ、出産育児一時金で標準的な出産費用をすべて賄えるようにするために決まりました。

出産では自治体独自の祝い金を受け取れることも

出産育児一時金は、国民健康保険や健康保険から受け取れるものですが、これとは別に、自治体によっては独自の出産祝い金制度がある地域もあります。また、出産をする本人が会社員などで社会保険に加入している場合には、産前産後に会社を休んだときにも「出産手当金」の対象になります。

<出典URL>
厚生労働省 第161回社会保障審議会医療保険部会「医療保険制度改革について」
首相官邸「岸田内閣総理大臣記者会見」令和4年12月10日

(文:年永亜美/WEBサイトTwitter