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政府は12月22日に令和6年度の税制改正大綱を閣議決定しました。その中で子育て世帯への支援として、住宅ローン控除や生命保険料控除、高校生への扶養控除などの見直しを挙げています。
子育て世帯向けの4つの拡充と見直し
大綱の中で挙げられている子育て世帯向けとされる支援は、控除や税制に関する制度の拡充と見直しがあります。主なものは、以下の4つです。
・子育て世帯等に対する住宅ローン控除の拡充
年末時点の住宅ローン残高に応じて受けられる住宅ローン控除は、2024年度から引き下げを予定していますが、子育て世帯については引き下げを見送ります。対象となるのは2024年に入居の場合に限られます。
減税対象となる借入限度額は、認定住宅は5,000万円、ZEH水準省エネ住宅は4,500万円、省エネ基準適合住宅は4,000万円で維持されます。他の世帯と比べると、認定住宅は500万円、ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅は1,000万円が上乗せされる形です。また、床面積要件も緩和が維持され、合計所得1,000万円以下の場合に限り、床面積要件は40平方メートル以上(通常は50平方メートル以上)です。
・子育て世帯等に対する住宅リフォーム税制の拡充
子育て世帯が、手すりや仕切り壁の設置など、子育てに対応するための住宅リフォームを行った場合に、工事費用相当額の約10%が所得税から控除されます。なお、対象工事の費用限度額は250万円までとなります。
・子育て世帯に対する生命保険料控除の拡充
生命保険に加入している人が支払った生命保険料に応じて、所得税や住民税の減税を受けられる生命保険料控除については、死亡保険などの遺族保障を対象に拡充が行われます。
通常は控除の限度額は4万円までと定められていますが、23歳未満の扶養親族がいる場合、2万円を上乗せして、6万円へと拡充されます。
・扶養控除等の見直し
高校の実質無償化に伴って廃止された、16~18歳までの特定扶養親族を対象とした扶養控除の上乗せ部分(国税25万円、地方税12万円)が復元される見通しです。また、母子・父子などのひとり親家庭を対象にしたひとり親控除では、所得要件を1,000万円以下に引き上げるほか、控除額を所得税38万円、個人住民税33万円に引き上げます。いずれも、令和8年分以降の所得税と令和9年度分以降の個人住民税の適用について検討される予定です。
<出典URL>
自由民主党「令和6年度税制改正大綱」
国土交通省「住宅ローン減税 Q & A(2023年3月更新)」
国土交通省「住宅ローン減税の借入限度額及び床面積要件の維持(所得税・個人住民税)」