国民健康保険料の上限額が引き上げ 2025年度から92万円に

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厚生労働省は10月31日、2025年度から国民健康保険料の上限額を引き上げる方針を決定しました。国民健康保険料の上限額引き上げは、2022年度から4年連続で行われています。

給与・年金収入が1,170万円超の世帯が保険料上限引き上げの対象

国民健康保険料は、世帯の所得に応じて定められています。また、年間の保険料に限度額があり、これまでは、給与・年金収入が1,140万円以上の世帯を対象に上限額が89万円に定められていました。

今回の変更では、上限となる保険料に該当する世帯が、給与・年金収入1,170万円以上の世帯となり、保険料の上限額が92万円に引き上げられます。上限額引き上げの対象になる世帯数は、全体の約1.5%とみられています。

引き上げ後は、40歳以上から支払いが開始される介護保険料の17万円と合わせると、保険料限度額は合計109万円となる見込みです。

高齢化による医療給付増加が背景 中間所得層の負担に配慮

国民健康保険料は、所得などの負担能力に応じて変動する仕組みとなっていますが、運営の観点などから年間の負担額に上限を設けています。
昨今の高齢化により医療給付が増加していることに対応するため、保険料収入を一定額確保する必要がある一方で、保険料率の引き上げのみを行うと、収入1,140万円未満の中間所得層の負担が重くなるという課題がありました。
そこで厚生労働省は、保険料上限額を引き上げることで高所得層からの徴収料を増加、中間所得層の負担を一定程度に抑えつつ保険料収入を確保することが可能になるとしています。

<出典URL>
厚生労働省「国民健康保険の保険料(税)の賦課(課税)限度額について」

(文:年永亜美/WEBサイトTwitter