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【マネーライティング講座】初心者ライター必見、マネー記事特有の書き方のポイント3つ

マネーライティングでライターデビューを目指す方の多くには、ファイナンシャル・プランナー(FP)の資格を持っているなど、金融経済の知識が豊富な方が多いでしょう。

専門的な知識や経験はライティングの強みになりますが、それだけではマネー記事を書くには不足することがあります。そこで、マネー系の記事を書くときに知っておきたい、原稿の書き方やルールを解説します。

専門的で正確なのは大前提

マネー系の記事は、家計や節約、ライフプラン、住宅、保険や税金、資産運用や相続などさまざまなお金のことを扱っています。どの内容でも、FPや税理士、社会保険労務士の資格があるなどで十分に理解している人が書くことで、お金のことをよく知らない人や疑問を抱えている読者の役に立つ、価値のある記事になります。

ただ、記事として文章で発信する際には、正確性と専門性の他にも配慮すべきことがあります。 おもなポイントを3つ紹介します。

1.レベル感の設定

マネー記事とひとくちにいっても、難易度はさまざまです。掲載する雑誌、新聞、ウェブメディアが想定している読者の性別や年代はもちろん、その読者がマネーについてどれくらいの知識があるか? その想定に合わせて、文章の書き方や具体例の示し方を工夫しましょう。

専門用語はかみ砕く

専門家が執筆するときに陥りやすいのは、日常業務では当たり前のように使っている専門用語をそのまま使ってしまうことです。業界紙・業界誌なら問題ありませんが、一般消費者向けの記事、とりわけ初心者向けでは、専門用語はかみ砕くか、平易な言葉での説明を併記しましょう。業界の外にいる人になじみのない言葉を無意識に使っていないかは、第三者に確認するのも有効です。

ただ注意したいのは、初心者向けであってもむやみに説明を省いたり、上から目線で読者を見下したような印象を与える記述はしないことです。読者の「知りたい」という気持ちに寄り添って、知識を補う書き方が大切です。

2.レギュレーション

お金に関する情報は、読者の家計や人生のお金に影響を与える可能性があります。このため、誤解を招く表現は避ける配慮が必要です。 そこでマネー系の記事では「レギュレーション」といって、文章を書くときの表現や伝え方のルールが設定されていることがあります。

日常生活での会話や、対面のマネー相談などでは使ってもそれほど差し支えない表現のなかにも、文章としてメディアに掲載するのはNGとされるものがあります。

レギュレーションは各メディアが設定しており一概にはいえませんが、おもに次のようなルールを設けているのが一般的です。

×安易な断定表現

読者によってさまざまなケースがあることに配慮せず、一方的に安易に断定してしまう表現はNGです。たとえば、「この株式を買えば絶対に儲かります」「この保険が一番安いです」のような表現です。

ほかに、次のような表記はできるだけ避けましょう。

避けた方が良い・NGな断定表現の例

 絶対、お得、最安、唯一、1番、すべて、必ずもらえる、いい商品、悪い商品  ・・・など

×安易な比較表現

具体的な商品やサービスについて触れる場合には、その比較も慎重にします。どちらが優れているか、安いかなどの結果は、比較する前提によって変わることがあるためです。前提を設定する場合も、正しく適切に条件設定できているかを入念に確認しましょう。

たとえば次のような表記は慎重にしましょう。

避けた方が良い・NGな断定表現の例

 Aの方がBよりもお得、損、安い、高い、優れている、劣っている ・・・など

×特定商品の推奨・批判

マネー系の記事では、預金やローン、保険や資産運用の商品やサービスについて触れることがあります。特段の指定がない場合には、記事の中で特定の商品だけを独断で推奨したり、批判したりするのは避けた方が無難です。一歩間違うと、炎上やトラブルの元にもなりかねません。

記事によっては、わかりやすく説明するために具体例として個別の商品やサービスに触れた方がよいケースもあります。その場合は入念に内容を確認し、正確に紹介するようにします。

どうしても個別の商品を推奨・批判したい場合には、その根拠をしっかりと調査し、読んだ人が納得できる説得力のある記述を心がけましょう。

推奨する場合には、それが本当にその商品やサービス独自の特徴なのか、他社の商品に類似のものはないのかを十分に調査します。

批判をする場合は特に注意が必要です。ある商品のデメリットは、一見すると弱点に見えても、他の観点から見ればメリットといえることもあります。他社商品に比べて本当に批判されるべきなのか、慎重に検証してから書きましょう。

案件によっては、特定の商品・サービスをPRするための記事や、複数の商品を比較検証するために、メリット・デメリットを書くことを求められる場合もあります。その場合にも、どのような表現や書き方が望ましいか、クライアントと十分相談するとトラブルを防ぎやすいです。

気をつけたい推奨・批判表現の例

 (十分な根拠なく)「A社の商品●●はおすすめ」、「B社の■■は買うべき」、「C社の▲▲サービスはここが悪い」 ・・・など

その他のNG表現

そのほか、宗教や政治に関する個人的な意見を主張するような表現、人権侵害に当たる表現、科学的根拠のない主張、うわさ、デマなどは、マネーライティング案件ではほとんど歓迎されません。

ただ、どこからがNGなのかの判断はメディアによって許容範囲が異なることがあります。時代とともに社会の価値観が変わり、以前はOKとされていた表現がのちにNGといわれるようになることもあります。

そのひとつに、男女の平等に関わる表現があります。たとえば最近は男女差別を想起させるという観点で「ご主人」「奥様」の表記がNGとされることがあります。

同じ理由で、文脈によっては次のような表現は避けるべき場合があります。

その他気をつけたい表現の例

 「奥様はご主人の扶養に入るもの」、「親の介護をするのは娘・嫁です」、「結婚したら子どもを産むはず」、「住宅ローンの名義人はご主人」 ・・・など

(固定的な先入観によって記述される場合。個別の具体例の紹介では例外もあり)

ライティングの仕事で執筆した記事は、不特定多数の読者に読まれることになります。このため、読者にとって不快に感じられる恐れのある表現はNGとされることがあるのです。事前にレギュレーションを明示してもらえる案件では必ず熟読しておきましょう。

3.出典情報の明記

マネーライティングでは、金融経済に関する専門的な内容を扱いますが、専門家が書く場合であっても、 編集体制が整備されているメディアならば必ず内容の精査があります。そこで重要なのが出典情報です。

出典情報は、原稿を書くにあたって参考にした、引用した情報源のことです。信頼性の高い記事の多くは、出典情報を明記します。

そのジャンルに精通した人が書くなら、正しいことは大前提ですし、資格を持っている人ならわざわざ調べなくても当然知っている情報もあるでしょう。

しかし記事として発信する際には、どんなにその道の大家が言っていることでも、きちんと裏取りをすることが重要です。これを「ファクトチェック」といって、原稿の内容をメディア側の編集部が精査する際に、出典情報を求められます。原稿を書く際に確認した資料は、原稿提出時に一緒に提示するようにしましょう。多くの場合は、出典元のURLを記載しておきます。

出典情報を明記するのは、著作権のルールを遵守する意味もあります。出典元のウェブサイトには、引用などで使用する際にはその旨を明記するよう求めているところもあります。正しい情報を、正しい形で利用して記事を書いたことを示すためにも、出典情報を書くことが大切です。

すべては読者、そしてライター自身のため

ここで挙げたのは一部で、マネー系の記事を執筆する際に守りたいルールやテクニックはほかにもたくさんあります。

細かなことに気を遣いながら書くのは、キャリアを積んでいても正直いって骨が折れます。しかし、微に入り細に入りさまざまな配慮をしながら書くのは、その記事を読んで生活に活用してくださる読者ひとりひとりのためになる。そしてそれは、最終的には執筆したライター自身への信頼にもつながると信じています。

それが、ライティングの仕事へのやりがいだと感じています。

すべてを初心者のうちから網羅して書くのはとても難しいことですが、ライティングの経験を積みながら少しずつ習得していけると、ライティングの仕事がより楽しくなるはずです。

(文:マネーステップオフィス株式会社 加藤 梨里)

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