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病気と闘う子どもには、就学時に必要な教育費に加えて、治療後の通院での経過観察や治療で費用がかかることもあります。たとえばがんの場合、国立がん研究センターの調査によると、「医療費以外に負担の大きいものがあったと回答した人」は85.8%となっています※1。小児がん患者の家族の多くは医療費やそれに関連した費用などの確保のために、大きな経済的負担を必要としたそうです。
そうした場合に、教育費の負担軽減の方法の一つとして、奨学金制度の活用があります。
子どもの就学を支援する奨学金制度
奨学金制度は、おもに経済的な事情で進学や就学の継続が難しい状況にある学生のための制度です。奨学金には大きく、返済不要の給付型と、返済が必要な貸与型の2種類があり、国の機関である日本学生支援機構の奨学金のほか、自治体や企業、大学、民間団体などが制度を設けています。なかには、過去に病気の経験があるなど、特定の条件下にある子どものための奨学金もあります。
今回は、小児がんを経験した子ども向けの奨学金制度について解説します。
小児がん経験者の就学を支援する奨学金制度
国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん罹患モニタリング集計(MCIJ))によると、2009年-2011年の小児がん(0~14歳)の平均罹患率は人口10万人あたり12.3例 とされています※2。上述の調査では「治療中に何らかの就学支援制度を利用した人は75.9%」(※1)という結果も出ており、がんを治療しながら学業を続けるには、家計だけでは経済的な負担が重いことも伺えます。
こうした小児がん経験を持つ子どもたちを経済的に支える奨学金制度として、生命保険会社のアフラックが中心になり運営する 「アフラック小児がん経験者奨学金」があります。進学や就学に経済的な援助を必要とする、18歳未満で小児がんを経験した高校生を対象としています。奨学金は返還不要で、同社での保険契約がなくても応募することができます。募集人数は30名程度、2022年度の募集は11月1日より開始しており、2月末日が締め切りとなっています ※3。
病気に関連した奨学金制度にはこの他にも、病気などで親を失った遺児向けの奨学金もあります。病気や事故などの遺児支援を行うあしなが育英会 では、病気や災害などで親を亡くした、あるいは重度後遺障害で働けない家庭の子どもへの支援として、給付と貸与奨学金が一体となった「あしなが育英会奨学金」 を交付しています。※4
いずれの奨学金も他の奨学金と併用が可能です。
奨学金制度とは奨学金制度とは、経済的な理由で進学や就学が困難な学生へ、経済的な支援を行う制度です。日本では、昭和18年創設の財団法人大日本育英会が初めて奨学金事業を開始しました。独立行政法人 や各自治体 、学校が実施するものや、民間企業が独自に行うものなどがあります。返済が不要な給付型 と、卒業後に返済が必要な貸与型があります。 貸与型は、さらに無利子と有利子にわかれます。いずれも、世帯収入や通う学校の種類、成績など、学生の状況により利用要件や受け取れる金額などが定められています。
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<出典URL>
※1 国立がん研究センター「小児がん患者を対象に初の体験調査報告 診療体験・療養生活の実態を明らかに」
※2 国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん罹患モニタリング集計(MCIJ))
※3 アフラック「アフラック小児がん経験者・がん遺児奨学金制度」
※4 あしなが育英会「奨学金を利用したい方へ」