【2022年2月】 3分でわかる今月のマネートピック

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4月から住宅ローン控除が改正 控除率は0.7%へ、環境性能に優れた住宅の減税期間は13年間へ

住宅ローンで自宅を購入した際に、年末のローン残高を基準に所得税と住民税が控除される住宅ローン控除制度が、4月に見直されます。

ローン残高を元に減税できる控除率が引き下げられる一方、環境性能に優れた住宅を取得した場合の控除が拡充されます。

住宅ローン控除期限は4年間延長 控除率は1.0%から0.7%へ変更

住宅ローン控除を利用できるのは、制度改正前は2021年末までに入居した人とされていましたが、この期限が4年間延長されました。2025年までに自宅を購入・取得、入居した人まで、適用が可能になりました。

控除率は、これまでの1.0%から0.7%へ引き下げられます。控除率が引き下げられることで、同じローン残高で比べると1年間の減税額は少なくなりますが、新築住宅については控除期間が10年間から13年へ拡大されます。一方で、中古住宅の控除期間は10年です(コロナ特例など一部例外を除く)。

環境性能の高い住宅は控除の上限額が高くなる

借入限度額にも変更があります。環境性能が所定の基準をクリアした認定住宅や省エネ基準適合住宅、ZEH水準省エネ住宅などは、控除を適用できる住宅ローン残高の限度額が高くなります。認定住宅に2022年、2023年中に入居した場合には、最大で5,000万円のローン残高まで、控除対象となります。

なお、2024年以降に建築確認を受ける物件には省エネ基準適合が要件となり、省エネ基準に適合しない物件は住宅ローン控除が受けられません。

床面積・築年数の要件は緩和 所得制限は強化へ

住宅ローン控除の適用にあたり、床面積と築年数の要件は緩和されます。

床面積の要件はこれまで50平方メートル以上とされていましたが、2023年までに建築確認を受けた新築住宅は、減税を受ける人の合計所得額が1,000万円以下ならば40平方メートル以上から対象になります。

また、中古住宅で要件とされた築年数(耐火住宅25年以内、非耐火住宅20年以内)は廃止され、昭和57年以降に建築された住宅は対象となります。

一方で、高所得者は住宅ローン控除を利用しにくくなります。2022年以降は、住宅ローン控除を適用できるのは合計所得金額が2,000万円以下(現行3,000万円以下)の人に限られます。

<出典URL>
国土交通省「住宅ローン減税等が延長されます!~環境性能等に応じた上乗せ措置等が新設されます~」
財務省「令和4年度税制改正の大綱の概要 (令和3年12月24日 閣議決定)」


中小法人・個人事業主への「事業復活支援金」受付開始 新型コロナによる売上減少を補助

1月31日より「事業復活支援金」の申請受付が開始しました。新型コロナの影響を受けた中小法人と個人事業主を対象として、減少した売上高に応じた給付金を受け取れます。申請期間は5月31日まで。

コロナで売上減少した中小企業や個人事業主を支援

事業復活支援金は、新型コロナによるイベントの中止や、渡航制限、流通制限などの影響を受けた中小法人と個人事業主を対象とした助成金です。

2021年11月~2022年3月のうち、いずれかの月の売上高が、2018年11月~2021年3月の間の任意の同じ月の売上高と比較して減少していた場合に、助成金を受け取れます。

給付金額は売上減少した差額の5か月分 中小企業は最大250万円

受け取れる助成金の金額は、「基準期間の売上高-対象月の売上高×5か月分」です。個人事業主の場合、売上減少幅が50%以上なら50万円、30%以上50%未満なら30万円です。中小法人は売上減少幅とコロナ禍前の年間売上規模の組合せにより、助成金額は60万円~最大250万円です。

<参照URL>
中小企業庁「事業復活支援金」


65歳以上で2カ所以上で働く人が雇用保険の対象に 1月からマルチジョブホルダー制度開始

2022年1月から、65歳以上の労働者が条件を満たした場合に雇用保険への加入を申請できる「雇用保険マルチジョブホルダー制度」が開始しました。条件を満たした高齢の労働者が、本人からの申し出により雇用保険に加入できる制度です。

複数の事業所で週に合計20時間以上働いていれば雇用保険に加入できる

従来の雇用保険制度では、1つの事業所での勤務時間や日数が一定以上でなくては雇用保険への加入ができませんでした。 今回の「雇用保険マルチジョブホルダー制度」により、2つの異なる事業所で働いている場合、以下の条件をすべて満たすと、特例で雇用保険へ加入できるようになりました。

・複数の事業所に雇用される65歳以上の労働者であること
・2つの事業所(1つの事業所における1週間の所定労働時間が5時間以上20時間未満)の労働時間を合計して1週間の所定労働時間が20時間以上であること
・2つの事業所のそれぞれの雇用見込みが31日以上であること

厚生労働省「65歳以上の労働者の皆さまへ」

加入は、働く人本人が自分でハローワークへ申し出て手続きします。

雇用保険に加入すると、退職時に失業給付を受けられる

雇用保険に加入すると、退職したときの失業給付や介護休業給付、教育訓練給付などを受けられます。退職時に失業給付として受けられるのは「高年齢求職者給付金」です。離職以前6か月の賃金日額の50~80%が、雇用保険への加入期間に応じて、最長50日分支給されます。

<出典URL>
厚生労働省「65歳以上の労働者の皆さまへ」

(文:年永亜美/WEBサイトTwitter