労災保険 すべてのフリーランスが加入可能に 来年秋にも

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10月に開催された厚生労働省の労働政策審議会で労災保険の加入要件見直しが議論され、フリーランスで働く人の労災保険加入が、来年秋にも可能になる見込みです。

労災保険には、現在は会社員と一部職業に従事するフリーランスのみが加入可能ですが、今後はすべてのフリーランスが労災保険へ加入可能になる見通しです。

希望するフリーランスすべてを労災保険の特別加入対象に

厚生労働省では、労災保険の特別加入対象や運用について「適切かつ現代に合った制度運用となるよう見直しを行う必要がある」として、2019年から労災保険の特別加入についての議論を進めていました。

2023年4月に「フリーランス法」が制定されたことをきっかけに、すべてのフリーランスが希望すれば労災保険へと加入できるよう、対象範囲を拡大する方針となりました。

2024年10月~11月頃にはこの変更が実施され、以降は原則すべてのフリーランスが労災保険の加入対象となる見込みです。

フリーランスが加入可能な労災保険の「特別加入」 2021年から業種の拡大が開始

労災保険は通常、会社員やアルバイトなど事業主に雇用されて働く人が対象ですが、「特別加入」制度により、要件を満たしている場合には特別に加入できるます。

業務の実態として労働者と同様の保護が必要とみなされる人が対象で、これまでは中小事業主、一人親方、農作業などの特定作業従事者、海外派遣者といった一部の業種に対象が限定されていました。

しかし、働き方の多様化が進む中で運用方針が見直され、以下のように対象業種が拡大されてきました。

2021年4月
・芸能従事者放送番組(俳優や音楽家など)
・アニメーション制作従事者
・柔道整復師等
2021年9月
・自転車配達員(ウーバーイーツ配達員など)
・ITフリーランス
2022年4月
・あん摩マッサージ指圧師、はり師又はきゅう師
2022年7月
・歯科技工士

<出典URL>
厚生労働省「第108回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会議事録」
厚生労働省「特別加入制度とは何ですか。」
厚生労働省「労災補償・労働保険徴収関係」
厚生労働省「これまでの特別加入の拡大について」
内閣官房「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)等に係る取組について」

(文:年永亜美/WEBサイトTwitter