5月末に実施予定だった4回目の備蓄米入札中止へ 農林水産大臣記者会見で発表

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政府は5月28日から30日にかけて行う予定だった4回目の備蓄米の入札を中止すると発表しました。価格高騰が続いているコメの供給強化のため、備蓄米の放出は夏まで継続するとしていました。

当初は入札形式での備蓄米放出を7月まで実施予定 今後は随意契約に変更を予定

備蓄米は、年間の玄米仕入れ量が一定以上あり、8月末までに卸売業者などへの販売する計画が整っているなどの条件を満たした集荷業者を対象に入札・販売が進められていました。

5月16日までに3回行われた入札では、合計31万トンが供給されました。需給状況に応じて数量を調整しながら、7月まで行う予定でした。
また、備蓄米の流通が一部にとどまっていることなどもあり、政府は市場供給の早急な拡大や販売計画の前倒しを各業者に要請するなど、流通の円滑化や供給強化に向けた運用改善を実施していく方針も公表していました。

しかし、これまでの競争入札では高い価格を提示した業者が落札できるため、コメの価格の高止まりにつながるとの指摘から、入札形式での備蓄米放出はいったん中止されることになりました。今後は随意契約に変更されます。5月21日、農林水産大臣の記者会見で発表されました。

随意契約では任意の業者などと契約を行います。対象とするのはスーパーや外食業者などを含む幅広い業者であるとしています。

コメの販売価格は昨年の約2倍 2024年8月の南海トラフ地震臨時情報などによる買い込み需要で高騰が続く

コメの価格は2024年8月以降に南海トラフ地震臨時情報の発令や地震、台風が相次ぎ、急激な買い込みにつながったことから高騰が続いています。

出荷業者と卸売業者等の間で今年3月までに取引された令和6年産⽶の平均取引価格は60kgあたり2万4500円で、1990年以降最高水準でした。全国のスーパーでの販売価格も、2025年4月28日~5月4日の平均価格で4,214円で、昨年の約2倍の水準が続いています。

<出典URL>
農林水産省「米の流通状況等について」
農林水産省「令和7年5月16日江藤農林水産大臣記者会見概要」
農林水産省「米の流通安定化に向けた対策パッケージ」
農林水産省「令和7年5月21日小泉農林水産大臣就任記者会見概要」

(文:年永亜美/WEBサイトTwitter