税制改正により新設された「160万円の壁」 所得税の発生する年収が引き上げに

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2025年4月の税制改正により、いわゆる103万円の壁が160万円の壁へと変わりました。年収の壁と呼ばれるうちの、「税の壁」に該当するものです。この変更は、所得税の算出にかかわる控除額の改正に由来します。

所得に対する基礎控除・給与所得控除が引き上げ 2025年12月以後の源泉徴収分に適用

令和7年度の税制改正により、所得税に関する基礎控除と給与所得控除が引き上げられました。
控除額は合計所得金額によっても異なりますが、合計所得が132万円以下の場合の基礎控除は48万円から95万円、給与所得控除は55万円から65万円に改正されました。

これにより、パートなど給与を受けて働く人の場合、年間の収入が160万円を超えるまでは所得が控除で相殺され、所得税が発生しないこととなります。

この変更は2025年12月以後の源泉徴収分から適用され、翌年の所得税支払いに影響します。

年収の壁には「税」「社会保険」「配偶者手当」に関する6種類の壁がある

年収の壁には現在、税・社会保険・配偶者手当のどれに影響を及ぼすかに違いのある、6種類の壁があります。

【税の壁】
100万円:住民税の支払いが発生(自治体により異なる)
103万円:所得税の支払いが発生、改正で160万円に引き上げ
150万円・201万円:配偶者の所得控除額に関係

【社会保険の壁】
106万円:健康保険・厚生年金保険への加入義務が発生(従業員51人以上の会社に勤める場合)
130万円:国民健康保険・国民年金の保険料の支払いが発生(上記以外の会社に勤める場合)

【配偶者手当の壁】
103万円・130万円:会社からの手当て支給要件に関係(企業により異なる)

これらの壁の影響度はそれぞれ異なり、手取りに影響しないものもあれば、個人の手取りに影響するもの、世帯の手取りに影響するものもあります。

<出典URL>
国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」
国税庁「令和7年度税制改正による 所得税の基礎控除の見直し等について(源泉所得税関係)」
厚生労働省「年収の壁について知ろう」

(文:年永亜美/WEBサイトTwitter