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厚生労働省が9月30日に発表した「令和7年版労働経済白書」によると、労働者一人当たりの賃金である現金給与総額は2024年に一般・パート労働者ともに増加したことがわかりました。
現金給与総額は一般・パート労働者ともに増加 実質賃金は非正規が3年ぶりにマイナス脱出
労働者一人当たりの現金給与総額は前年比2.8%増で、4年連続の増加となりました。このうち正社員などフルタイムで働く「一般労働者」の賃金は月額約45万円で、前年比3.2%増加しました。残業代を除いた所定内給与と賞与などの特別給与の増加が主な要因です。
パートタイム労働者の現金給与総額の伸びはさらに顕著で、所定内給与は月額約11万円となり、増加幅は過去10年で最大となりました。また、パートタイム労働者の時給は前年比4.3%増の1,343円で、引き続き増加傾向にあります。
一方で、実質の現金給与総額については前年比0.3%減と、3年連続の減少となっています。厚生労働省によると、パートタイム労働者の比率が増加したことが影響しているとみられます。年次の実質賃金は、一般労働者では前年と変わらず、パートタイム労働者では前年比0.7%増となり、3年ぶりにマイナスから脱しました。
春季労使交渉と最低賃金引上げなどにより、現金給与総額が増加
一般労働者の現金給与総額増加の要因には、33年ぶりの高水準を記録した春季労使交渉による賃上げや経常利益拡大などが挙げられます。2024年の一人当たりの平均賃金の改定額は11,961円、改定率は4.1%で、1999年以降で過去最高でした。また、実際に賃上げを行った企業は全体の約9割に上りました。
パートタイム労働者の現金給与総額については、最低賃金の引き上げに加え、『雇用形態が異なっても、労働内容が同じであれば同等の賃金を支払うべき』という同一労働同一賃金の取り組みが進んだことも影響していると分析されています。
一般経済や雇用、労働時間などの現状や課題を分析
厚生労働省の「労働経済白書」では、一般経済や雇用、労働時間などの現状や課題を分析しています。令和7年版では『労働力供給制約の下での持続的な経済成長に向けて』をテーマとしています。
<出典URL>
厚生労働省「令和7年版 労働経済の分析 -労働力供給制約の下での持続的な経済成長に向けて-」



