OTC類似薬の公的医療保険対象外に向けた検討が開始 実現すれば10倍以上の値上がり可能性も

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厚生労働省は、処方薬の中で市販品と成分が近い「OTC類似薬」について、公的医療保険の対象から外す方針で見直しを進めています。これが実現した場合、対象外となった医薬品を購入する際の自己負担が増加すると見込まれます。

市販薬より安価で有効成分が似ているOTC類似薬 風邪薬や解熱鎮痛薬などが全額負担の候補に

OTC類似薬とは、病院などで処方される薬のうち、その有効成分の安全性が確認され、市販薬(OTC医薬品)として同じ成分を含む製品の販売が認められているものです。
花粉症薬や湿布薬、総合感冒薬(風邪薬)、解熱鎮痛薬など、症状が軽い場合に処方されるものが中心で、約7,000品目が存在します。

病院などで処方される薬には、原則公的医療保険が適用され、薬剤費のうち患者側の自己負担は1~3割に抑えられています。
保険適用が見直され、OTC類似薬が公的医療保険の対象外となり、市販薬として購入することになった場合、以下のような金額負担の差が生じると想定されます。現在の方針では、早ければ2026年にOTC類似薬の保険適用の見直しが行われる見込みです。

<医療用医薬品とOTC医薬品の薬剤費の例>
■総合感冒薬
・医療用医薬品 患者自己負担(3割):46.8円~65.5円
・OTC医薬品 薬剤費:1,634円~2,343円

■解熱鎮痛薬
・医療用医薬品 患者自己負担(3割):36.4円
・OTC医薬品 薬剤費:299円~768円

出典:厚生労働省「薬剤給付の在り方について」
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001591452.pdf

現役世代の保険料負担を軽減する目的で見直しが開始

OTC類似薬の保険適用についての検討は、医療費の増大などに対する対策として開始されました。
一方で、この見直しにより急激な負担増加や医療機関の受診が遅れる可能性などを指摘する声も上がっており、制度見直し時にはそれらの点について配慮が必要とされています。
この点も踏まえ、一部報道によると、保険適用は継続しつつ、自己負担を一部増やす方向で調整する案も出ているとのことです。

※2025年11月25日時点の情報をもとに執筆しています。情報は執筆時点のものであり、今後変更される場合があります。

<出典URL>
厚生労働省「薬剤給付の在り方について」

(文:年永亜美/WEBサイトTwitter

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マネーステップオフィス編集部