【2022年10月】 3分でわかる今月のマネートピック

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2022年10月から育休中の社会保険料の免除要件が改正に

2022年10月より、育児休業中の社会保険料の免除要件が改正されました。これまで、育児休業期間が月末にあたる場合に限りその月分の保険料が免除されていましたが、月末を挟まなくても、14日以上の育休期間があれば免除されることになりました。

産休・育休中は健康保険料や厚生年金保険料が免除

産休(産前産後休業)、育休(育児休業)中には、働いていたときには負担する健康保険と厚生年金の社会保険料が、本人分および事業主負担分ともに免除されています。

このうち育休の免除については、1カ月以内に育休から復帰するなど、育休の開始日と終了日が同月の場合には、月末に育休日が含まれていなければ、社会保険料の免除がされませんでした。

これが、今回の改正により、育休の開始日と終了日が同月でも、育休期間が14日以上であれば、その月の社会保険料が免除されることになりました。

一方、これまでは育休を取得した月に賞与支給があった場合には、その月の給与に対する社会保険料とともに、賞与にかかる保険料も免除されていましたが、こちらは賞与を支払った月の末日を含み1か月以上の育休を取得した場合のみ、賞与への保険料が免除されることになりました。

産休・育休の復帰後に給与が下がったときには、その分社会保険料も見直される

なお、産前産後休業や育休終了後、時短勤務への変更などにより報酬が低減した場合には、社会保険料の特例を受けることができます。
これは、休業前よりも給与などが低くなったにもかかわらず、休業前の報酬水準に合わせた社会保険料が徴収されることで、働く人の負担を軽減するための措置です。この特例制度を受けることで、社会保険料の基準となる標準報酬月額は、産休・育休など収入が変動してからの3か月間の報酬平均で再決定されます。社会保険料は、見直された標準報酬月額に応じて、その翌月から適用されます。報酬(給与)が減った場合には、社会保険料も少なくなり、負担の軽減が見込まれます。

<関連記事>
10月から「産後パパ育休」創設 男性の育児参加が柔軟に 改正育児・介護休業法が施行
<出典URL>
日本年金機構「令和4年10月から育児休業等期間中における社会保険料の免除要件が改正されました」
日本年金機構「育児休業、産後パパ育休や介護休業をする方を経済的に支援します」

社会保険の適用範囲が拡大 パート・アルバイトの一部が10月から加入義務化

2022年10月より、社会保険の適用範囲が拡大されました。勤務先の規模要件ではこれまで従業員数501人以上の職場に勤めるパート・アルバイトの人が対象でしたが、従業員数が101人以上の職場に勤める人も対象となります。

週の所定労働時間が20時間以上など条件を満たすと社会保険へ加入することに

10月以降は、従業員数が101人以上の職場でパート・アルバイトとして働いていて、以下の条件を満たした場合には社会保険に加入することとなります。

・週の所定労働時間が20時間以上
・月額賃金が8.8万円(年収106万円)以上
・2ヶ月を超える雇用の見込みがある
・学生ではない(休学中や夜間学生は対象)

社会保険に加入すると年金が2階建てになり、公的医療保障も追加される

社会保険に加入すると、保険料負担が必ず発生します。そして、年金と医療保障が国民年金・国民健康保険よりも手厚くなります。

年金は、65歳以上で受け取れる老齢基礎年金、病気やケガで所定の障害状態となった場合に受け取れる障害基礎年金、被保険者が亡くなった場合に遺族が受け取れる遺族基礎年金が基本的な保障です。社会保険に加入すると、これら3つの基礎年金に厚生年金が上乗せされ、保障が2階建て形式となります。

健康保険の保障も上乗せされ、病気やケガで一定期間仕事を休んだ場合に受け取れる傷病手当金や、産休中に受け取れる出産手当金が受け取れます。それぞれ給与の3分の2程度が支給されるため、それまでは収入がゼロとなるケースでも、一定の収入を確保できるメリットがあります。

配偶者の扶養に入っているかにかかわらず保険料が発生する

一方で、保険料負担が発生しやすくなるという面もあります。これまでは配偶者の扶養に入っており、年収130万円以内であれば国民年金・国民健康保険の保険料負担は発生しませんでした。今後は年収106万円以上などの上記条件に当てはまれば社会保険へ加入することになり、保険料負担が発生します。

なお、国民年金・国民健康保険の保険料は全額自己負担ですが、社会保険では会社との折半になります。

<出典URL>
厚生労働省「社会保険適用拡大ガイドブック」

10月からの火災保険・地震保険が改定 火災保険は長期契約が最長5年までに 地震保険の長期割引も縮小

2022年10月から、建物の損害を補償する火災保険・地震保険が改定されました。主に、火災保険では保険期間の短縮と補償の縮小、地震保険では保険料変更があります。

火災保険は最長保険期間が10年→5年へ 免責金額の引き上げなども

火災保険は一般的に1年単位で契約しますが、これまで、最長10年間を保険期間とすることができました。これが2022年10月1日以降が始期の契約では、保険期間は最長5年に短縮されました。

一般的に、火災保険は保険期間を長期に設定するほど保険料が割引されます。同じ条件・補償内容で契約をした場合、1年あたりの保険料は5年契約よりも10年契約の方が割安になりますが、改定により10年契約はできなくなりました。

また一部の保険会社では、補償内容も変更されました。一例として、事故発生時に発生した被害額のうち一定以下の金額を自己負担する免責金額の引き上げがあります。ある会社では、これまで0万円~3万円などに設定できた免責金額について、特定の事故を原因とした損害については5万円とするなど、契約者の自己負担が増える形になりました。

地震保険は全国平均で0.7%の保険料引き下げ 長期契約の割引は縮小

地震保険も10月から改定され、保険料は全国平均で0.7%引き下げられました。地域や物件構造によっては保険料が引き上げされる場合もあります。

また、長期契約の割引が縮小されました。保険期間2年以上の場合に、契約年数に応じて保険料を割引する長期係数のうち、5年契約時の長期係数が引き上げられました。割引率にすると7%→6%へ引き下げられました。

なお、保険期間2~4年の長期係数の割引は変更ありません。

<参考URL>
損害保険料率算出機構「火災保険参考純率 改定のご案内」
損害保険料率算出機構「地震保険基準料率 届出のご案内」

(文:年永亜美/WEBサイトTwitter