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厚生労働省が11月に発表した「令和4年賃金引上げ等の実態に関する調査」で、令和4年中には85.7%の企業が賃金を引き上げたか、引き上げを決定したことがわかりました。賃上げ企業の割合は前年に比べて5ポイント上昇しました。
平均賃金の改定額は5,534円で3年ぶりに上昇
賃上げをした企業の改定額の平均は5,534円で、前年平均4,694円よりも増加しました。過去2年は連続で減少していましたが、3年ぶりに上昇へと転じました。
また、令和4年夏の賞与支給を実施した企業も86.2%で、前年に比べて増加しました。
一方で、賃金を引き下げた企業は7.1%で、前年(7.7%)とほぼ同水準でした。
賃金の改定理由は「企業の業績」が最多
賃金改定の理由として最も多かったのが「企業の業績」で、40%を占めています。しかし、前年と比べると7.3ポイント減で、平成29年以降減少が続いています。
これに対して「労働力の確保・定着」(11.9%)、「雇用の維持」(10.7%)など、人材確保のために賃金改定を決定した企業は増加しました。
物価の値上げに賃金改定が追い付かない面に課題も
前年に比べて賃金上昇傾向がみられるものの、物価上昇には依然として追いついていない模様です。食品では今年約2万品目、平均約14%値上がりしたという調査もあります。電気料金などインフラの値上げも相次ぎ、消費生活のコスト増は賃金改定を上回っているとみられます。
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<出典URL>
厚生労働省「令和4年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況」