(写真:PhotoAC)
厚生労働省は、令和6年版の「労働経済の分析」を公表しました。この分析では、2023年までの一般経済や雇用情勢、物価消費、賃金などの動向についての調査結果と、人手不足の現状と取り組み事例の紹介などを掲載しています。
物価消費の動向は全体に上昇・改善傾向がみられる
2023年の一般経済の傾向として、新型コロナウイルス感染症の5類移行により経済社会活動は正常化、好調に転じる傾向がみられたとされています。消費者の消費マインドも、物価上昇が落ち着いたことで2019年以前の水準には至らないまでも改善の兆候が見られました。
可処分所得に対する消費支出の割合をみた平均消費性向についても、全年代で上昇しており、特に「65歳以上」「34歳以下」は上昇幅が大きくなりました。
物価消費については、「電気・都市ガス・水道」が原油価格の高騰などの負担軽減のため2023年1月使用分から実施された電気・ガス価格激変緩和対策の影響で、物価上昇率に対してマイナスに寄与しました。一方、円安による原材料の高騰や外国人客の訪日再開により、「外食」「宿泊料」といった「一般サービス」や、「食料工業製品」「他の工業製品」などはプラスの寄与要因となりました。
一般労働者・パートタイム労働者ともに賃金増加
賃金の状況を示す現金給与総額については、一般労働者・パートタイム労働者ともに3年連続での増加となりました。
一般労働者では、2023年の春季労使交渉での賃上げの影響が大きく、月額43.6万円に増加しています。前年比では1.6%の増加で、1997年以降で最大の増加幅です。
パートタイム労働者は最低賃金の引上げや同一労働同一賃金を推進する状況などを追い風に、月額10.5万円、前年比2.5%の増加を見せています。この増加幅も2000年以降では最大となっています。
一方、物価高の影響が名目賃金の増加分を上回ったことで実質賃金は減少が続いており、21か月連続で減少となっています。
年齢別の給与の動きを見てみると、企業規模にかかわらず若年層の賃金が増加しています。しかし1,000人以上の規模の企業では中年層の給与が減少しており、高校や大学を卒業後に長い期間勤めている正社員が役職を持たないことが要因であると指摘されています。
<出典URL>
厚生労働省「令和6年版 労働経済の分析 -人手不足への対応-」