75歳以上高齢者の健康保険料 上限額が引き上げへ 令和6年度から

写真:PhotoAC

75歳以上の後期高齢者が加入する後期高齢者医療制度について、保険料の上限額が令和6年度から引き上げられることになりました。健康保険法の改正による見直しです。

保険料引き上げの対象になる人は約4割 最大14万円の負担増

後期高齢者医療保険の保険料は、すべての被保険者へ均等に賦課される均等割額と、所得に応じて設定される所得割額の合計額です。この金額には現在、1年あたり66万円の上限額が定められており、所得の高い人でも保険料負担が上限以上にはならないようになっています。

今回の健康保険法改正では保険料のうち所得割額部分が見直されます。対象となるのは年金収入が153万円相当以上の人で、後期高齢者医療保険に加入している人の約4割にあたります。

年収約1000万円を超える人の場合、保険料負担の年間上限額は2024年度に73万円へ、2025年度には80万円へと引き上げられます。現行から最大で年間14万円の負担増となります。

また、年金収入211万円相当以下の人については2024年度の保険料増加は無し、年収153万円以下の人は負担増は生じないように配慮されています。

出産育児一時金の財源へ

今回の改正による保険料収入は、少子化対策の一環として2023年4月より引き上げられた出産育児一時金の財源に充てられることとなっています。出産育児一時金の財源のうち、7%が後期高齢者医療保険料から確保されます。
出産育児一時金の増額については、こちらの記事で解説しています。
「来年度から出産育児一時金が50万円に増額 厚労省の審議会で了承」

後期高齢者医療制度の財源は、約5割が公費、約4割が現役世代からの支援金、約1割が後期高齢者の保険料によってまかなわれていますが、制度導入以降、現役世代の負担は1.7倍、高齢者は1.2倍に増加しています。

<出典URL>
厚生労働省「全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健 康保険法等の一部を改正する法律案について」
参議院「全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案」

(文:年永亜美/WEBサイトTwitter