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2024年5月10日、雇用保険法の改正案が参議院本会議で可決され、成立しました。2028年までに、加入対象者の拡大や、会社を退職した後に受け取れる失業給付の受取要件の緩和などが実施されます。
雇用保険の労働時間要件が20時間以上から10時間以上に
これまで、雇用保険の加入要件は労働時間20時間以上と定められていましたが、改正により2028年10月以降は10時間以上へと要件が緩和されます。
この変更により、これまでは雇用保険の対象ではなかったパートや時短勤務者も対象になり、雇用保険の加入者が増加する見通しです。
2025年からは失業給付の要件緩和や教育訓練休暇給付の創設も
2025年4月からは失業給付の受取要件も緩和されます。
自己都合による退職の場合、現在は原則2か月の給付制限期間を経てからでないと、失業給付を受け取れません。これが今回の改正により、給付制限期間が1か月に短縮されます。また、教育訓練などを自ら受けた場合には給付制限期間なしに失業給付の受け取りを開始できるようになります。
また同年10月からは、「教育訓練休暇給付金」が創設されます。
会社勤めをしながら教育訓練を受講する目的で仕事を休んだ場合、一般的には有給休暇などを利用しなければ欠勤扱いとなり、無給となっていました。改正後は、教育訓練を受けるために休んだ日数分、失業給付と同水準の給付金を受け取れるようになります。
雇用保険は働く人の失業や教育訓練を支援する公的保険制度
雇用保険とは、会社勤めをする人が離職・休職をした際に給付を受け取れる公的保険制度です。
現在は会社の規模に関係なく、31日以上働く見込みがある人のうち、1週間の労働時間が一定以上の人は全員が加入することになっています。
雇用保険に加入をしていると、離職中の生活を支えるための基本手当(失業給付)や、キャリア形成のため教育訓練を受けた場合の費用を支援する教育訓練給付、育児休業を取得中に受け取れる育児休業給付などの手当てを受け取れるようになります。
<出典URL>
厚生労働省「雇用保険法等の一部を改正する法律案の概要」
厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」
参議院「雇用保険法等の一部を改正する法律案」