一定額以上の市販薬購入で控除を受けられるセルフメディケーション税制とは

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2024年10月、厚労省はセルフメディケーション税制の品目を更新しました。セルフメディケーション税制は、所得税の医療費控除の特例制度です。

医療費控除の特例制度 1万2千円~8万8千円までが所得控除の対象に

セルフメディケーション税制は、2017年に開始した医療費控除の特例制度です。
当初は2021年末までの期間限定の制度とされていましたが、2022年からは2026年までに延長されています。

1年のうちに自分と、配偶者や親族など同一生計の人たちがドラッグストアなどで特定の医薬品を1万2千円以上分購入した場合、その超えた金額(8万8千円まで)と同額が総所得金額から控除されます。
控除により、所得税や住民税の算出基準になる金額が少なくなるため、税負担が軽減される場合があります。

同制度を利用した場合、通常の医療費控除とは違い、病院を受診した場合にかかった医療費などは控除対象となりません。また、医療費控除とは併用ができないため、医療費控除とセルフメディケーション税制どちらの要件にも該当する場合には、一方を選択することになります。

対象になる医薬品は7000品目以上

セルフメディケーション税制の対象となる医薬品は、制度開始当初、処方薬のうち安全性が高く市販品へと転用されたスイッチOTC医薬品のみでした。 2022年の制度延長時に対象商品も拡充され、腰痛や肩こり、風邪やアレルギー症状に効く非スイッチOTC医薬品も対象になりました。

2024年10月現在は、7,160品目が対象です。 品目は毎月更新されており、対象となる品目は購入時のレシートに「セルフメディケーション税控除対象」の記載があります。

健康診断受診など健康増進の取り組みなどが条件

セルフメディケーション税制を受けるには、1年間のなかで特定健診・予防接種・定期健診・健康診査・がん検診といった「健康の保持増進及び疾病の予防に関する一定の取組」を行っている必要があります。

また、その年の所得税確定申告での申請が必要です。購入時のレシートなどは提出は不要ですが、5年間手元で保管をしておくことも必要です。

<出典URL>
厚生労働省「セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)について」
厚生労働省「広報誌『厚生労働』」
国税庁「医療費控除とセルフメディケーション税制の違いについて」

(文:年永亜美/WEBサイトTwitter