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厚生労働省の先進医療会議によると、2025年6月30日時点の先進医療を受けた患者数は初めて20万人を超え、総金額も約1,084億円と過去最高額になったことがわかりました。
不妊治療に関する先進医療の技術数と総額が最多 がん治療のおよそ100倍以上の件数が実施
過去5年間の先進医療実績を見ると、実施医療機関数や患者数、総金額などは年々増加傾向にあります。
先進医療技術に指定されている医療技術の種類のうち、特に多いのはおもに不妊治療に用いられる技術で、令和7年6月時点で先進医療A・B合わせて12種類があります。
その中でも、特に件数や金額が多い技術の実施件数と総額は、以下のとおりです。
・子宮内膜刺激術
年間実施件数:28,090件
先進医療総額:10億2,915万2,934円(1件あたり約3万6,638円)
・タイムラプス撮像法による受精卵・胚培養
年間実施件数:98,871件
先進医療総額:41億1,383万165円(1件あたり約4万1,608円)
・ヒアルロン酸を用いた生理学的精子選択術
年間実施件数:16,278件
先進医療総額:5億1,736万6,687円(1件あたり約3万1,783円)
先進医療技術には、がん治療の技術として知られる陽子線治療や重粒子線治療もありますが、同年の実施件数はそれぞれ739件、303件でした。件数で比較すると、不妊治療に関する先進医療技術はがん治療の最大100倍以上の水準に上ることがわかります。
一方で、先進医療技術全体の種類数は減少しており、過去5年で83から73(令和7年6月時点)にまで減少しました。
先進医療の技術料は全額自己負担 不妊治療の場合は自治体からの補助金がある場合も
先進医療とは、厚生労働大臣により認められた高度な医療技術のことをいいます。
先進医療技術にかかる医療費は公的医療保険の対象とならず、全額自己負担となります。また、月ごとの上限額を超えた分が払い戻される高額療養費制度も適用されません。
しかし、上記で挙げた不妊治療に関する技術については、条件を満たしていれば自治体から補助金が出るケースもあることから、ほかの先進医療技術に比べて自己負担が抑えられる場合があります。
<出典URL>
厚生労働省「先進医療の実績報告について」
厚生労働省「【先進医療A】令和7年6月30日時点における先進医療に係る費用」
厚生労働省「【先進医療B】令和7年6月30日時点における先進医療に係る費用」


