【健康コラム】全粒穀物と健康との関係

皆さんは日ごろ全粒穀物を意識して摂っているでしょうか。今回は全粒穀物を摂ることによって死亡のリスクを低下させる可能性があることが示された最近の研究結果についてご紹介します。

全粒穀物とは

全粒穀物とは、精製されていない穀物のことで、玄米、雑穀、全粒粉、オートミールなどがあります。穀物にもよりますが、多くの穀物は「胚乳」、「表皮」、「胚芽」の大きく3つの部分に分けることができます。精製される際には表皮と胚芽が取り除かれ、私たちは全体の80%以上を占めている胚乳を食べていることになりますが、実はこの取り除かれている表皮と胚芽に栄養がぎっしりと詰まっているのです。

■全粒穀物の栄養

部位 特徴
表皮 「ふすま」とも呼ばれ、食物繊維、ビタミンB群、ミネラルが豊富
胚乳 糖質とたんぱく質が主成分
胚芽 たんぱく質、脂質、ビタミン(特にビタミンB群、ビタミンE)、ミネラル、食物繊維が豊富

アメリカでは、米国保健福祉省(HHS)と米国農務省(USDA)が2016年1月に「米国人のための食生活指針」(2015-2020 Dietary Guidelines for Americans)」を発表しました。穀物に関しては、積極的に全粒穀物を取り入れるよう推奨しており、「1日に摂る穀物の半分以上」を全粒穀物にするようすすめています。

全粒穀物の摂取が死亡リスクを低下させる

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Harvard T.H. Chan School of Public Healthの研究者による研究結果から、全粒穀物は心血管疾患、糖尿病、腸の不健康のリスクを低下させる可能性が報告されました。

この研究はメタアナリシスといって、過去に報告されている同じテーマの研究を収集して量的に統合して評価するという手法を使ったもので、全粒穀物と死亡リスクに関して、12本の過去の論文に米国全国健康・栄養調査(National Health and Nutrition Examination Survey:NHANES)III、NHANES 1999-2004の結果が加えられて分析されました。

1970~2010年の間に行われた研究が収集された結果、全粒穀物を一日3皿以上(合計48g)摂っている人は、そうでない人もしくはほとんど摂らない人に比べて死亡リスクが低かったことが明らかになりました。

具体的には、1日に3皿以上全粒穀物を食べている人はそうでない人に比べて、
・22%全死亡リスクが低い
・23%心血管疾患死亡リスク、20%ガン死亡リスクが低い

この研究結果には、全粒粉に含まれる多数の生理活性物質が健康によいことをもたらしていること、食物繊維含有が豊富でコレステロール生成とグルコース反応を緩やかにすること、満腹感を与えていることなど様々な理由が考えらます。研究者たちは精製された炭水化物を減らし、全粒穀物を多く含むブラン、オートミール、キヌアなどの食事を選ぶよう推奨しています。
※1日48gの全粒穀物は、例えば3枚の全粒パンに相当します。

研究の限界としては、全粒穀物に関していくつかの研究は定義がなく進められていたため、全粒穀物の食品が研究によって相違があったこと、また、ほとんどの研究がアメリカやスカンジナビアで行われたものであったため、他の集団(国)において一般化できるものかはまだわからないことが挙げられていました。

日本ではまだ全粒穀物に関して食事指針などで具体的な目標値は掲げられていないですが、玄米、雑穀米、全粒粉でできたパン、キヌアなどを少しずつ意識して、食生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。

参考文献:Geng Zong, Alisa Gao, Frank B. Hu, and Qi Sun, Circulation, online June 13, 2016, “Whole Grain Intake and Mortality from All Causes, Cardiovascular Disease, and Cancer: A Meta-analysis of Prospective Cohort Studies,”