様々なダイエット方法が広まっている中で、ファスティングやプチ断食といった方法を取り入れる方も多いようです。
ファスティングが減量によいとする科学的根拠はない
現時点では、ファスティングが減量に効果的であるとする科学的根拠は見当たりません。疾病による治療を目的に「絶食」をすることはあるものの、ダイエットを目的としたファスティングについて研究も少なく、その効果および安全性が明らかになっていないということです。数少ない研究の中には、短期間のファスティングは達成感やプライド、自己コントロールといった心理的にプラスな面があるという報告もありました※1が、一貫性のあるものとは言えません。
食事をしなければ当然摂取エネルギー量に対して消費エネルギー量が多くなるので、一時的な減量には効果があるかもしれません。ただし、身体のメカニズムとして、飢餓状態にあると身体は体脂肪をため込もうと働くので、繰り返しファスティングをすることで、逆に太りやすくなることも考えられます。
上記は完全に食事を断った場合を考えたときなので、例えば会食続きでとにかく食べすぎ、飲みすぎた際に野菜を中心とした低エネルギーの食事をするのであれば、体重コントロールにはよいかもしれません。
ダイエットを考える際には安全面も考えたい
ファスティングに関しては、研究によってはそのリスクを報告しているものもあります※2。健康法に関して効果が明らかになっていないものも数多くある中で、それを実践することによるリスクや安全性についても考えていくことが、今後ますます大切になるかと思います。
※1 Ellen Watkins, Lucy Serpell. The Psychological Effects of Short-Term Fasting in Healthy Women. Front Nutr. 2016; 3: 27.
※2伊藤 朋子. 断食道場での減量を契機に発症した周期性四肢麻痺の1例. 日本内科学会関東地方会. :2007; 545:23.
執筆者プロフィール
朴沢広子(ほうざわひろこ)
栄養士、慶應義塾大学院健康マネジメント研究科スポーツマネジメント専修博士課程在籍、慶應義塾大学スポーツ医学研究センター研究員。同大学健康マネジメント研究科修士課程修了後、女子栄養大学にて栄養士を取得。現在、中小企業の勤労者の健康状態、健康行動について研究している。忙しい毎日の中で実践できる、より楽しく、健康的な食事の提案に努めている。
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