朝食は必ず摂った方がよい、むしろ摂らない方がやせる、など様々な情報を耳にします。実際はどうなのか、朝食の役割について考えていきたいと思います。
朝食の役割
朝食の主な役割としては下記が挙げられます。
- エネルギー源の確保 日中に必要なエネルギー源となり、活動の基となる。
- 脳への栄養 脳の唯一のエネルギー源は「ブドウ糖」であり、朝食を摂ることで脳が活動するのに必要な
- 体内リズムの調整 体内リズムを調整する役割があり、ホルモンの分泌、エネルギーの代謝を維持する。
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栄養を補うことができる。
逆に朝食を抜くと、「集中力が欠ける」「体内が飢餓状態と察して、脂肪をためやすくなる」「代謝が悪くなる」等が考えられます。
朝食を「摂った方がよい」「摂らなくても影響はない」とする研究は両方存在する
朝食に関して様々な議論がされており、朝食を摂らない方がよいという考え方では、長寿遺伝子として知られる「サーチュイン遺伝子」が空腹時に活性化するということから朝食欠食も健康によいのではないかという理論のようです。
朝食の研究は多くされており、摂らないことに比べて摂ることによる影響(体重)はなかったという結果*1や子供において朝食は神経心理学的機能には効果はない*2といった結果もあります。
一方で、朝食を摂らない人の方がレプチン(脂肪組織から分泌されるホルモンで、体脂肪量と相関する。)レベルが有意に高かった結果*3や二型糖尿病との関連を示した結果もあります*4。各論文ではさらなる研究と検討が必要ということも言われており、まだどちらがよいかという明確な結果が出ているわけではありません。
朝食の捉え方
朝食をを摂った方がよいか摂らない方がよいか、議論はまだ続くかと思いますが、体内のリズムを整えることや2食で必要な栄養を摂ることは現実的に難しいことを考えると、朝食を摂るメリットは大きいかもしれません。また、空腹が続くと次に食べる食事が多くなる「ドカ食い」を防ぐためにも規則正しい食事を摂ることはとても大切です。
ライフスタイルが様々である中で、まずは自分の食生活の中では何が足りていないのか(もしくは過剰に摂りすぎているのか)を考えて、朝食と摂るか摂らないかではなく、「何を食べるか」にも気を付けていきたいですね。
【参考文献】
*1 Dhurandhar EJ. True, true, unrelated? A review of recent evidence for a causal influence of breakfast on obesity. Curr Opin Endocrinol Diabetes Obes;2016;23(5):384-388.
*2 Iovino I et al. Breakfast consumption has no effect on neuropsychological functioning in children: a repeated-measures clinical trial. Am J Clin Nutr;2016;104(3):715-721.
*3 Asao K et al. Leptin Level and Skipping Breakfast: The National Health and Nutrition Examination Survey III (NHANES III). Nutrients. 2016 Feb 25;8(3):115.
*4 Bi H et al. Breakfast skipping and the risk of type 2 diabetes: a meta-analysis of observational studies. Public Health Nutr;2015;18(16):3013-3019.
執筆者プロフィール
朴沢広子(ほうざわひろこ)
栄養士、慶應義塾大学院健康マネジメント研究科スポーツマネジメント専修博士課程在籍、慶應義塾大学スポーツ医学研究センター研究員。同大学健康マネジメント研究科修士課程修了後、女子栄養大学にて栄養士を取得。現在、中小企業の勤労者の健康状態、健康行動について研究している。忙しい毎日の中で実践できる、より楽しく、健康的な食事の提案に努めている。