【健康コラム】カフェインはどれくらい摂ってよい?

忙しいとき、勝負ごとの前などに、エナジードリンクはある程度の効果を期待できそうです。しかし、飲みすぎるとカフェイン中毒を起こし、最悪の場合死に至るケースもあります。カフェインはどれくらいまでなら摂って良いのでしょうか?

カフェインの摂りすぎは体に悪い

カフェインには、脳の中枢神経を刺激して「アデノシン」という眠気の原因となる物質が受容体と結合するのを抑制する働きを持っています。このため眠気を覚ます、集中力を高めるなどに効果があります。

しかし摂りすぎると悪影響を及ぼすことがあります。

厚生労働省の報告書によると、カフェインの過剰摂取によってめまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠症、肝機能低下などの悪影響が出るおそれもあります。妊娠中の方がカフェインを過剰に摂取すると、胎児の発育を阻害するおそれも指摘されています*1。

*1 厚生労働省 「食品中のカフェイン」ファクトシート
    

カフェインの摂取基準は?

では、どれくらいまでならカフェインを摂ってもよいのでしょうか?

日本では、今のところ具体的にはカフェインの摂取基準は設けられていません。

一方で、諸外国ではカフェインの過剰摂取が問題視されており、摂取基準が設けられている国もあります。特に妊娠中のカフェイン摂取による胎児への健康リスクの観点から、WHO、イギリス、オーストリア、カナダでは一日当たりの最大摂取量(悪影響がないとされる量)が設けられています。

■諸外国のカフェイン摂取基準

1日当たりの最大摂取量
妊婦 コーヒー3~4杯 世界保健機関(WHO)
300mg/日 オーストリア保健・食品安全局(AGES)
200mg/日 英国食品基準庁(FSA)
300mg/日 カナダ保健省
子供 45mg/日
(4~6歳) 45mg/日
(7~9歳) 62.5mg/日
(10~12歳) 85mg/日
成人 400mg/日

厚生労働省 「食品中のカフェイン」ファクトシートより

カフェインが含まれている食品

それでは、普段口にしている食品の中にはどの程度カフェインが含まれているのでしょうか?

例えばコーヒー1杯(200ml)には160mgのカフェインが含まれています。カナダ保健省の基準で考えると、成人なら1日3杯までであれば健康に悪影響はないことになります。

カフェインというとコーヒーを思い浮かべる方が多いと思いますが、実は紅茶やお茶の中にも含まれています。同じ量なら、玉露はコーヒー以上にカフェインが含まれています。

■食品中のカフェイン含有量

食品 カフェイン含有量 抽出方法
コーヒー 60 mg/100ml コーヒー粉末 10g/熱湯150ml
紅茶 30 mg/100ml 茶 5g/熱湯360ml1.5分~4分
玉露 160mg/100ml 茶 10 g/60℃60ml、2.5分
煎茶 20mg/100ml 茶 10g/90℃430ml、1分
ほうじ茶 20mg/100ml 茶 15g/90℃650ml、0.5分
ウーロン茶 20mg/100ml 茶 15g/90℃ 650ml、0.5分

 
日本食品標準成分表2015年版(七訂)

国内ではまだ最大摂取量については基準が設けられていないですが、諸外国の基準を参考に、適量を心掛けるようにしたいですね。

執筆者プロフィール

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朴沢広子(ほうざわひろこ)
栄養士、慶應義塾大学院健康マネジメント研究科スポーツマネジメント専修博士課程在籍、慶應義塾大学スポーツ医学研究センター研究員。同大学健康マネジメント研究科修士課程修了後、女子栄養大学にて栄養士を取得。現在、中小企業の勤労者の健康状態、健康行動について研究している。忙しい毎日の中で実践できる、より楽しく、健康的な食事の提案に努めている。

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マネーステップオフィス編集部
マネーステップオフィス編集部マネーステップオフィス編集部
お金と健康に関する記事・コンテンツ制作実績1万本以上。ファイナンシャル・プランナー(FP)を中心とした専門家による、家計、ライフプラン、保険など、幅広い生活とお金のコンテンツ制作を行っています。