近年、加工肉が健康に与える影響について様々な研究がされています。加工肉は摂ってはいけないのか?研究結果や世界的な報告書をもとに考えていきたいと思います。
加工肉は死亡リスクと関連している
IARC (International Agency for Research on Cancer:国際がん研究機構)は、昨年大腸がんに関して、ソーセージやハム、ベーコンなどの加工肉を「ヒトに対して発がん性がある」グループ1と分類しました*1。これは摂取量などを考慮せず、加工肉に発がん性があるかどうかを評価したものですが、過剰摂取によって発がん性のリスクが高まるという解釈ができます。
また、131,000名の男女を対象に32年間追跡調査をした結果では、red meat(以下「赤肉」。牛肉、豚肉、羊肉など調理前の状態で赤い肉を指し、鶏肉や七面鳥などを含まない)を多く摂っていた群、その中でも特に加工肉の摂取が多い群は死亡リスクが高かったと報告されています。
一方、植物性タンパク質(大豆製品など)を多く摂取していた群はリスクが低かったとのことです*2。
日本人の食事パターンを考慮する必要
加工肉は発がん性のリスクがありますが、先ほどご紹介した研究結果は日本人でないことも注意したいところです。国立がんセンターでは、日本人の加工肉の一日平均摂取量は他国と比べて低いため、研究結果をそのまま日本人に当てはめるべきではないという見解を示しています。
また、赤肉と加工肉摂取量と大腸がん罹患リスクについて追跡調査を行ったコホート研究の結果からも「大腸がんの発生に関して、日本人の平均的な摂取の範囲であれば赤肉や加工肉がリスクに与える影響は無いか、あっても、小さいと言えます。」と評価しています*3。
加工肉を日々の食事に取り入れてもいい?
現時点では、日本人においては加工肉の摂取が少ないため、加工肉ががんのリスクに与える影響は少ないとしていますが、日本人の中でも食事のパターンはそれぞれあるため、過剰摂取には注意が必要です。
もちろん適度に取り入れても問題ないですが、普段加工肉を使用することが多い方は、例えば一食の中で加工肉がいくつも入らないように、2種類までにするなど心掛けるとよいかもしれません。
【参考文献】
参考文献
*1 WHOによる声明 Links between processed meat and colorectal cancer
*2 Song M et al. Association of Animal and Plant Protein Intake With All-Cause and Cause-Specific Mortality. JAMA Intern Med;2016.
*3 赤肉・加工肉のがんリスクについて「赤肉・加工肉のがんリスクについて」
執筆者プロフィール
朴沢広子(ほうざわひろこ)
栄養士、慶應義塾大学院健康マネジメント研究科スポーツマネジメント専修博士課程在籍、慶應義塾大学スポーツ医学研究センター研究員。同大学健康マネジメント研究科修士課程修了後、女子栄養大学にて栄養士を取得。現在、中小企業の勤労者の健康状態、健康行動について研究している。忙しい毎日の中で実践できる、より楽しく、健康的な食事の提案に努めている。
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