【健康コラム】肥満遺伝子があってもダイエットはできる?

Last Updated on 2016/11/25 by マネーステップオフィス編集部

肥満は遺伝するとよくいわれますが、科学的には本当でしょうか?

一般には遺伝によって太りやすい、太りにくいがあるといわれてきましたが、最新の研究では違う見解も出てきています。

肥満遺伝子とは

近年、肥満症には遺伝との密接な関係があり、遺伝子座とBMIや体脂肪にも関連があることがわかってきました*1。中でもfat mass and obesity associated (FTO) geneやmelanocortin 4 receptor (MC4R) geneという遺伝子がBMIと密接な関連があると言われています*2,3。

これらの遺伝子が変異型である人は、標準型の人に比べて食欲抑制がしにくかったりエネルギー代謝が悪かったりするため、太りやすくなるということです。

肥満遺伝子は減量に影響していない研究結果

食事や運動、薬物治療による介入後の減量に対するFTO遺伝子の影響をみることを目的とした研究では、8つの研究結果(9,563名のデータ)を用いてレビューがされました。その結果、介入後のBMI、体重、腹囲に関して、FTO遺伝子タイプによる違いがみられなかったと報告されています*4。

また、介入のタイプ、介入期間、民族、サンプルサイズ、性別、年齢、ベースラインのBMIを調整しても同様の結果が得られたとしています。
 

肥満遺伝子を持っていても生活習慣の改善でやせられる可能性

この結果では、食事や運動による減量は肥満遺伝子を持っているかどうかの影響を受けてない、つまり、肥満遺伝子を持っている人でも食事や運動などによって減量が可能であると述べられています。

今回FTO遺伝子のみが調査されている点や民族の違いによるレビューがまだ不足している点では、肥満遺伝子が食事や運動などによる減量に影響を与えないとは言い切れないですが、今後このような研究が進んでいくと、人々がより健康になるための食事や運動のサポートも進めることができるかと思います。

【参考文献】
*1 Willyard C. Heritability: The family roots of obesity. Nature;2014 ;508(7496):58-60.
*2 Yeo GSH. The role of the FTO (Fat Mass and Obesity Related) locus in regulating body size and composition. Mol Cell Endocrinol;2014;397:34-41.
*3 Loos RJF, Lindgren CM, Li S, et al. Common variants near MC4R are associated with fat mass, weight and risk of obesity. Nat Genet;2008;40:768-775.
*4 Livingstone KM et al. FTO genotype and weight loss: systematic review and meta-analysis of 9563 individual participant data from eight randomised controlled trials. BMJ;2016 ;354.

執筆者プロフィール

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朴沢広子(ほうざわひろこ)
栄養士、慶應義塾大学院健康マネジメント研究科スポーツマネジメント専修博士課程在籍、慶應義塾大学スポーツ医学研究センター研究員。同大学健康マネジメント研究科修士課程修了後、女子栄養大学にて栄養士を取得。現在、中小企業の勤労者の健康状態、健康行動について研究している。忙しい毎日の中で実践できる、より楽しく、健康的な食事の提案に努めている。