野菜は食べなきゃと意識していても果物は普段あまり食べない、果物は甘いから太りそうで食べないという人は少なくないのではないでしょうか。ですが、果物には健康効果を期待できる成分が多く含まれています。
果物に含まれる栄養
果物は種類によって含まれる栄養価が異なりますが、ぜひ注目したいのがビタミンCとカリウム、食物繊維の働きです。それぞれの健康効果をみてみましょう。
【ビタミンC】
コラーゲンの生成を促進(皮膚の維持)、疲労回復、抗ストレス、抗酸化作用、鉄の吸収を助けるなどの効果を期待できる。
【カリウム】
ナトリウムを排泄する働きがあるので、血圧の上昇を抑える(血圧を調整)などの効果を期待できる。
【食物繊維】
血糖値上昇を緩やかにする、コレステロール吸収を抑える、腸内環境を整える働きがあり、便秘予防、免疫力を高めるなどの効果を期待できる。
他にも、抗酸化作用のあるビタミンE、疲労回復に欠かせないクエン酸、目や粘膜を正常に保つビタミンAなどが含まれている果物もあります。また、果物ががんの予防にもなることも過去の研究からも報告されています※1。
どの程度摂ればよい?
日本では、果物は1日200g摂ることを目標に掲げています※2。
実際に日本人がどの程度果物を摂っているかというと、全体平均で107.6g(男性95.5g、女性117.7g)です※3。下記のグラフで示す通り、特に20-40代の摂取量が少ないことがわかります。
一人暮らしだとなかなかりんご1個食べきるのも大変…といった悩みを持つ方もいるかと思います。
1) みかんやバナナ、ぶどう、いちご、ブルーベリーなど食べきれるもの
2) パックになっているカットフルーツ
は、スーパーやコンビニにでも販売していますので、手軽に食べられます。試してみてはいかがでしょうか。
果物は太るのか?
よく果物は太るのではないか、という声を耳にします。
甘いものは血糖値を上げやすく太りやすい原因になるといわれます。しかしその直接の作用は、糖分のなかでもグルコースという種類がもっています。
一方、果物に含まれる糖分のほとんどはフルクトースという単糖類です。フルクトースのほとんどは、肝臓で代謝されてエネルギーとして使われたり、貯蔵されたりします。また、果物の食物繊維の働きもあり、果物が急激に血糖値をあげるわけではありません。
ただし、果物を摂りすぎると余分な糖質は肝臓で中性脂肪となり、蓄えられてしまいます。ですから果物でも摂りすぎると太る原因になることもありえます。
摂取量の目安である1日200g程度であれば、極端に太りやすくなるおそれはそれほど心配しなくても良いでしょう。まずは一日一回、食べやすいものを食べるのがよいかと思います。
※1 Block G et al,. Fruit, vegetables, and cancer prevention: a review of the epidemiological evidence. Nutr Cancer. 1992;18(1):1-29.
※2 農林水産省 食事バランスガイド
※3 平成26年 度国民健康・栄養調査
執筆者プロフィール
朴沢広子(ほうざわひろこ)
栄養士、慶應義塾大学院健康マネジメント研究科スポーツマネジメント専修博士課程在籍、慶應義塾大学スポーツ医学研究センター研究員。同大学健康マネジメント研究科修士課程修了後、女子栄養大学にて栄養士を取得。現在、中小企業の勤労者の健康状態、健康行動について研究している。忙しい毎日の中で実践できる、より楽しく、健康的な食事の提案に努めている。
投稿者プロフィール
- お金と健康に関する記事・コンテンツ制作実績1万本以上。ファイナンシャル・プランナー(FP)を中心とした専門家による、家計、ライフプラン、保険など、幅広い生活とお金のコンテンツ制作を行っています。