炭水化物の食事摂取基準
日本人の食事摂取基準(2015年版)では※1、全年齢において、炭水化物の摂取基準は男女ともに、総エネルギー摂取量に対して50~65%のエネルギーの割合を目標値としています。
つまり、1日で摂るエネルギーのうち、50~65%は炭水化物からのエネルギーで占めるようにするということです。
具体的にどのくらい食べて大丈夫?
では、1日で摂ったエネルギーのうち、50~65%を炭水化物から摂るには、具体的にどのように調整すればよいでしょうか。
例えば、身体活動レベルが「低い」40代の男性の一日の推定エネルギー必要量2,300kcalを考えてみましょう。(身体活動レベルが「低い」=生活の大部分が座位で、静的な活動が中心の場合)
このうちの50~65%というと、炭水化物で1,150~1,495kcal摂ることになります。さらに炭水化物は1g=4kcalですので、287~374gの炭水化物量を目標にするということです。
下記に朝食と昼食の例を示しました。
朝食 | トースト1枚、ゆで卵、サラダ(ハム、ブロッコリー、ミニトマト)、ヨーグルト、バナナ1本 |
昼食 | 定食屋でからあげ定食 |
上記の栄養価を計算すると、
エネルギー | タンパク質 | 脂質 | 炭水化物 | |
---|---|---|---|---|
朝食 | 506kcal | 22.8g (18.0%) | 18.0g (32.0%) | 66.5g (50%) |
昼食 | 992kcal | 41.9g (16.9%) | 43.4g (39.4%) | 101.4g (43.7%) |
朝食・昼食合計 | 1,498kcal | 64.7g (17.3%) | 61.4g (36.9%) | 167.9g (45.8%) |
1日の目標量 | 2,300kcal | 95g (16.5%) | 77g (30.0%) | 307g (53.5%) |
※カッコ内は総エネルギー摂取量に対する各栄養素のエネルギー割合
上記の表をみると、朝食と昼食で既に、脂質の割合がかなり高いのがわかるかと思います。
このような日の夕食は例えば野菜たっぷりの豆乳鍋にして、ごはんを1杯食べるようにすると、おおむね1日の目標量となります。
つまり、1食につきごはん1杯は勿論摂って問題なく、むしろ普段の食事の中では気づかずうちに「脂質」の摂りすぎになりやすいことに注意が必要だということです。1食ごはん1杯を目安にして、外食やコンビニ弁当で栄養価が表示されているものは、エネルギーだけでなく、タンパク質、脂質、炭水化物のバランスがどうかみてみると、1日の中で調整しやすいかと思います。
お酒を飲む場合は少し少なめに
上記の炭水化物の摂取基準量には、お酒の分の炭水化物も含まれています。他の栄養素も含む食事から炭水化物を摂ることは望ましいですが、お酒を飲む場合は少しご飯の量を減らすなど、調整するように心掛けてみてください。
※1 厚生労働省日本人の食事摂取基準(2015年版)
執筆者プロフィール
朴沢広子(ほうざわひろこ)
栄養士、慶應義塾大学院健康マネジメント研究科スポーツマネジメント専修博士課程在籍、慶應義塾大学スポーツ医学研究センター研究員。同大学健康マネジメント研究科修士課程修了後、女子栄養大学にて栄養士を取得。現在、中小企業の勤労者の健康状態、健康行動について研究している。忙しい毎日の中で実践できる、より楽しく、健康的な食事の提案に努めている。
投稿者プロフィール
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