【健康コラム】女性のやせすぎの問題

日本人の女性のやせすぎは多い

メタボリックシンドロームや肥満の増加が国内においても問題となる一方で、「女性のやせ」の問題も社会的な問題となっています。
やせの基準はBMIが18.5未満であることですが、平成27年度国民健康・栄養調査の結果によると※1、女性のやせは平均11.1%です。特に問題となっているのが若い世代のやせ。下の図からも20代の女性のやせは20%以上もいることがわかります。もともと日本人は欧米諸国に比べてBMIが低い傾向にありますが、現在では肥満とやせの2極化が進んでいる現状です。

厚生労働省 平成27年度国民健康・栄養調査

なぜやせすぎはダメ?

日本人女性のやせが増加している背景には、日本の中で「やせ」=「美」という概念が広がっていることにあるかと思います。
やせは実は肥満と同様に健康のリスクは大きく、BMIが18.5未満のやせは特に注意が必要です。十分な栄養が摂れていないことで貧血、生理不順、骨粗鬆症、不妊などの危険性も高まるのです。さらに、国立がん研究センターによる大規模なコホート研究では※2、BMIが19未満の群のがんの発生率は、BMIが23~24.9の群と比較して有意に高いことも報告されています。

内臓脂肪にも注意を

また、一見やせていても運動をせず、少ない量で脂っこいものやスイーツだけを食べ続けている方は、中性脂肪値が高い可能性もあります。これは内臓脂肪の蓄積が一つに考えられ、このままの状態が続くと疾病に繋がりかねません。

最近では女性の中でもやせすぎではなく、筋肉がしっかりついたモデルの活躍も注目されてきています。やせ=美ではなく、健康体=美であることを広めていきたいものです。

※1 厚生労働省 平成27年度国民健康・栄養調査
※2 Inoue M et al,. Impact of body mass index on the risk of total cancer incidence and mortality among middle-aged Japanese: data from a large-scale population-based cohort study–the JPHC study. Cancer Causes Control. 2004;15(7):671-680.

執筆者プロフィール

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朴沢広子(ほうざわひろこ)
栄養士、慶應義塾大学院健康マネジメント研究科スポーツマネジメント専修博士課程在籍、慶應義塾大学スポーツ医学研究センター研究員。同大学健康マネジメント研究科修士課程修了後、女子栄養大学にて栄養士を取得。現在、中小企業の勤労者の健康状態、健康行動について研究している。忙しい毎日の中で実践できる、より楽しく、健康的な食事の提案に努めている。

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マネーステップオフィス編集部
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