公的年金に上乗せして年金や一時金を受け取れる「個人型確定拠出年金」に、誰でも加入できるようになります。厚生労働省が方針を固めました。
確定拠出型年金は老後の年金を増やす方法のひとつ
個人型確定拠出年金は、国民年金などの公的年金だけでは足りない老後のお金をまかなうために、任意で加入する年金制度です。「確定拠出」というのは、自分でお金を出す「拠出する」金額が確定しているという意味です。
たとえば、毎月1万円ずつ、と決めたら、毎月1万円を60歳まで積み立てる、というしくみです。積み立てている間は、年金制度の中の定期預金に入れておくこともできますが、債券や株式などと同じ動きをする投資にあてることもできます。積み立てたお金を、どんな方法で運用するかは、お金を出す人にまかされています。ですから、人によって、同じ金額を積み立てても、老後の受取が多い人と少ない人が出てきます。
銀行の預金だけではなかなかお金が増えないため、投資で老後のお金を増やしたい、というときに使えるのが、確定拠出年金です。ただし、期待通りに増えないリスクもあります。
確定拠出年金に入れる人
現在、自営業者と他の企業年金に入っていない会社員が加入できます。しかし、実際の加入者は有資格者のわずか0.5%程度の約18万人にとどまっています。そこで厚生労働省は、公的年金を補う企業年金の加入者を増やすために、改革案を提示しました。
会社員で、お勤め先に年金制度がある人は、その年金制度に加入するため、確定拠出年金には入らないことになっています。また、専業主婦も、確定拠出年金には入れません。
改革されると、現在は確定拠出型年金に加入できない専業主婦や、別の企業年金に加入している会社員、共済に加入している公務員なども、個人型確定拠出年金に加入できるようになります。
なお、お勤め先に「企業型」確定拠出年金制度がある人は、引き続き企業型確定拠出年金に加入します。もし、会社を退職した時には、それまで積み立ててきた資産を個人型確定拠出年金に移すことができます。
確定拠出年金に誰でも加入、主婦・公務員も 厚労省案
厚生労働省は14日、運用成績によって将来もらう年金額が変わる確定拠出年金(日本版401k)の見直しに着手した。専業主婦や公務員なども含め、誰でも加入できるようにする。401kに加入する会社員は転職時に年金資産を持ち運びやすくする。公的年金の目減りがさけられないなか、老後の備えを厚くするため、企業年金制度の加入者を増やす。厚労省が14日開いた社会保障審議会・企業年金部会(厚労相の諮問機関)で、401kなど企業年金制度の改革案を示した。年末までに具体案をまとめ、年明けの通常国会に関連法案を提出する。早ければ2016年度にも施行する。
日本の年金制度は、自営業者は国民年金、会社員は厚生年金、公務員は共済年金と、職業によって分かれている。企業年金制度も終身雇用を前提として成り立っているため、転職者には使い勝手が悪く、普及の足かせにもなっていた。厚労省は対象を広げて加入を促し、転職など働き方の変化にも対応した制度に作り替えることにした。
401kには、企業が運営する「企業型」と、勤め先に企業年金がない人が加入する全国共通の「個人型」の2つがある。厚労省は個人型の対象を増やすため、夫が会社員の「第3号被保険者」になっている専業主婦の加入を認める。個人型年金には掛け金や受け取りに控除制度があり、運用益も非課税になるなど税制で優遇されているため、国民年金保険料を免除している第3号の加入は見送られていた。(2014年10月15日 日本経済新聞)
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