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【マネーライティング講座】はじめに

近年、インターネットやスマートフォンの普及とともに、ウェブメディアの数も急増しています。それとともに、ウェブメディアの記事を執筆するライターへの需要も拡大しています。

同時に、クラウドソーシングや企業の副業解禁を背景に、ウェブ記事の執筆で収入を得ようと考える人が増えてきています。クラウドソーシングサイトを見れば、1つの案件に10人、20人と提案が集まり、ライター人口は山ほどいるようにも見えます。

ライターは常に不足している

一方で、雑誌、新聞、大手ウェブメディアなどでの執筆をしていると、編集者の方からは「書き手が足りない!」という声をよく耳にします。話を聞くと「書きたい人はたくさんいるけれど、書ける人は全然いない」というのです。

私が知る限りでも10社近くでこうした話を聞きますし、多数のウェブメディアが常にライターを募集している現状をみると、記事・コンテンツの制作者たちは往々にして「書ける人がいない」と悩んでいるようです。

プロとして書くには、商業ライティングのスキルと訓練が必要

ライターになりたい人はたくさんいる。なのに、メディアは常にライター不足。なぜ、このようなことが起きているのでしょうか?

それは、「商業ライティング」に対応できる人が意外と少ないからです。

商業ライティングとは、 原稿料を受け取って書く、つまり「文章のプロ」として書くということです。これは、単純に日本人が日本語で文章を書くこととは全く違います。

新聞や雑誌、多数の人が訪れるウェブサイトのように、誰が読んでも正しく理解でき、かつわかりやすい文章は、素人が書くのは困難です。日常生活で私たちが何気なく目にする新聞などの記事が、さらっと読んでもすんなりと頭に入ってくるのは、プロの記者やライターが執筆しているためです。

新聞社や出版社、編集プロダクションなどで文章のプロとしての仕事をしている方たちは、長年にわたって伝わりやすい文章を書く訓練を続けています。

また、信頼性の高いメディアの多くには編集者、校正者、校閲者など、文章と情報に磨きをかけるプロもいます。記者やライターが書いた原稿は編集者によって読みやすく整理され、校閲者によって入念なチェックが行われ、日本語の文章としての洗練と厳しい正確性の検証を経ることで、質の高い情報に仕上げられています。

こうした工程にのせ、責任を持って発信できる情報を作る担い手になることが、商業ライティングのライターになるということです。それには、相応の訓練が必要です。

現在はウェブメディアが急速に増え、記事の質や編集体制もさまざまです。またSNSやブログを通して発信する個人の方にも、強力な拡散力と社会への影響力を持つ人もいます。

これらで活躍する人の中には、特段の訓練をしなくても多くの人々に読まれ、拡散される文章を書ける人もいます。文章のプロにならなくても、ライティングをキャリアにつなげていく手立てはたくさんあります。

ただ、クラウドソーシングを含め、コンテンツを扱うメディアや企業でライティングの仕事をするのであれば、業界で必要な基本的なライティングのスキルは身につけておいた方が有利です。

ライティングスキル×専門性があれば、原稿料アップにもつながる

とりわけ、マネー分野のライティングでは、マネーの専門性と文章力を兼ね備えていると強みになります。

専門誌以外のメディアでは、文章のプロはいてもマネーのプロはそれほど多くありません。逆に、ファイナンシャルプランナーや税理士、会計士、社会保険労務士などマネーやライフプランの専門家の業界に、文章のプロは希有です。2つの強みを持つことで、仕事の幅が広がりやすくなります。他の人が対応できない案件を書けると、原稿料アップにもつながります。

私自身、試行錯誤を繰り返しながらも書き続けて約15年が経ち、今では100万PV級のメディアに掲載する原稿もほぼ一発OKで執筆できるようになりました。金融機関向けなど、厳しいコンプライアンスチェックが入る記事に対応できるようにもなりました。

その結果、原稿料も上がりました。現在の平均原稿単価は、執筆業務開始時に比べて約5倍です。また、マネーライティングの仕事にやりがいや社会貢献を感じるようになりました。

弊社のコラム「マネーライティング講座」に関心をお持ちの方の中には、すでに金融経済でのキャリアを積んだマネーのプロの方も多いでしょう。その知識を活かしてライティングに挑戦する方にこそ、一度、文章力を高める努力をしてみることをおすすめします。

マネー記事での文章の書き方だけでなく、表現方法の使い分け、納品方法など、マネーライティングの仕事をするために必要な知識やスキルについて具体的に解説します。

金融経済業界の仕事の奥深さと同じくらいに、それらを情報発信する専門性にも、きっと奥深さを感じていただけるはずです。

(文:マネーステップオフィス株式会社 加藤 梨里)

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コラム「マネーライティング講座」では、約15年にわたり累計1万本以上のマネー系記事を執筆してきた弊社代表の加藤が、マネー記事の書き方について解説します。

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【マネーライティング講座】ライターの仕事は初心者でもすぐできる?文章の書き方を学ぶ必要がある理由

副業や独立を目指す人が初めに仕事をする方法のひとつとして、ライティングがあります。特に、ウェブ記事の執筆は多数の案件や募集があるため、これまで執筆の仕事をしたことがなくても応募する機会があるでしょう。「初心者歓迎」を謳っている募集案件もたくさんあります。

では、初心者OKの案件は、執筆の仕事が未経験でもすぐできるのでしょうか?

文章を書ければすぐライターになれるわけではない

「ライティング」の仕事は、新聞や雑誌のような紙媒体の記事原稿を書く仕事から、これらのメディアが運営するウェブメディアのほか、企業のオウンドメディア、個人が運営するサイトやブログまで、幅広い案件があります。なかでもウェブのライティング案件はクラウドソーシングなどで多数の求人情報が掲載されており、仕事を見つけやすいでしょう。

このなかには、確かにライティングの実務経験がない人でもすぐに受け入れてもらえる案件もあります。個人の経験や知識があれば、文章力はそれほど問われずに短期間で活躍できる案件もあるでしょう。

いまはSNSやブログもあり、誰もが気軽に文章を書いて世界に発信できる時代ですから、プロでなくても文章を書くことに慣れている人もいます。

しかし、情報発信を業としているメディア、特に信頼性の高い媒体に載せる文章は、日本語の読み書きができるだけでは書けません。自分が発信したいこと、自分が書きたいことと、読み手が求めている情報、求めている文章、そして届けるに値する文章は、全く違うからです。

信頼性の高いメディアではボツも当たり前

読者としてニュース等の記事を読むとき、「誰が発信した情報なのか?」はとても重要です。匿名の誰かが書いたSNSの投稿と、全国紙の記事に書かれた情報では、どちらがより信頼できるか? テーマや内容にもよりますが、ほとんどの場合は後者でしょう。

それは、全国紙の情報はそれだけ発信に責任を伴うということでもあります。丹念に取材し、情報の正確性を検証し、それを誤解無く、かつわかりやすい文章で整理し、本当に読者に届けても良いか、多くの人の目でチェックを重ねてから発信しています。そこで書くには、こうした責任に対応できる力量が必要です。

このため、特に編集体制が厳格なメディアで、執筆の初心者が書くのはハードルが高いです。応募に通らないことも多いですし、仕事をもらえることになっても、原稿を出してからボツになることも珍しくありません。

実際に複数のウェブメディアの状況をみていると、新規で募集したライターに記事執筆を依頼したとき、1本目の初稿原稿をそのまま、または多少の校正で使えることは少数のようです。編集者から手直しの指示が入って修正稿を出し直すか、手直しをするよりもむしろほかのライターがはじめから書き直した方が早いと判断されれば、ボツになってしまうこともあります。

なぜボツになるのかわからないのは、ライターとしての文章の書き方を知らないから

初回の原稿に手直しが入ると、赤字だらけになることがよくあります。せっかく一生懸命書いたのに、全然OKをもらえない。いわれたとおりに直したのに、また修正依頼が戻ってきてしまう。

かくいう私も、執筆業務を始めた当初はクライアントから何度も原稿を差し戻されたり、ボツにされたりしたことがありました。なぜNGなのか理解できず、出しても出してもボツになり、いつまでも原稿料をもらえなかったこともあります。

そんな状況に心が折れてしまう人もいます。1本目はようやく仕上げたけれど、2本目も3本目も何度も修正指示が入ると、嫌気がさしてやめていく人もいます。ライターデビューはしても、書き続けられる人は一部です。

なぜ、このような問題が起きるのか?

それはそもそも文章を書くこと、そしてメディアで読まれる文章を書くことについて、基本的かつ実践的なスキルやルールを身に着ける機会がほとんどないからです。ルールを知らず、スキルを適切に身につけていなければ、修正指示や差し戻しがあってもどうしていいかわからなくて当然です。

ライターは文章の書き方をどこで学べる?

新聞記者や出版社のライターの方たちは、入社後にライティングの手法を基礎から習得する、または先輩や上司に鍛えられながら業務を通して身につけていくそうです。

しかし副業やフリーランスの人が請け負うライティングの仕事では、即戦力が求められます。業務上で丁寧にトレーニングをしてもらえることはほとんどありません。残念ながら、執筆を本業にしていない人が書き方を学べる場はあまりありません。

メディアの中にはライター向けに丁寧なマニュアルを配布しているところもありますが、その多くはそのメディアの記事としての体裁の整え方や作法が中心です。わかりやすい文章、OKがもらえる文章を書けるようになるのとは、少し違います。

また文章のスキルは実例を通して説明しないと理解しにくいことも多く、書き始める前にマニュアルを読んだだけでは上達は難しい面もあります。

マネーライターになるにはライティングを学ぶ方が有利

そもそも、これからライターになろうとする人は、すぐに仕事が欲しい、すぐに収入がほしいと思っている人が大半でしょう。わざわざ文章の書き方、ライティングの技術を学ばなくても、仕事しながら習得すればいいとも思うかもしれません。

もちろん、それで成功する人もいます。ただ、マネーやライフプランなどに関わる分野でライティングを続けるなら、一度はメディアに掲載される文章の書き方やルールについて学ぶことをおすすめします。これらのジャンルでは、個人の考えや経験ではなく、客観的かつ信頼性の高い裏付けをもって、論理的に解説することが求められます。掲載先のメディアやメディアの運営に関わっている企業のコンプライアンス基準も高いため、心得ておくべきルールも多数あります。

これらに関するスキルを身につけることで、手探りで書くよりも圧倒的に書きやすくなりますし、修正依頼や差し戻しが減るはずです。クライアントからの指示に適切に対応できるようになり、信頼も高まります。それは、のちに原稿料アップにもつながるでしょう。

一見すると遠回りに感じますが、マネーライティングを仕事にしていくなら、文章の書き方や仕事としてのライティングについて学び、訓練を積むのが中長期的には有利に働くと思います。

(文:マネーステップオフィス株式会社 加藤 梨里)

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【マネーライティング講座】マネーの文章力を高めるために必要なスキルは何か?

マネー系のライティングをするには、どんな知識やスキルが必要でしょうか? 金融、経済に関する専門的な知識は必須です。文章力も必要です。

また、ウェブライティングの仕事をするときには、読まれる文章を書ける力を強く求められます。それは、マネー系のウェブライティングでも同じです。

マネーライティングで必要なのは共感力

では、それさえあれば良いマネー記事を書けるかというと、そうではない。というのが、10年以上マネーライティングを続けてきての実感です。何よりも大切なのは、生活やお金のことを知りたいと思っている読者への共感だと思います。

共感力とはなにか

共感力は、相手の気持ちを理解し、共に感じる力のことです。ライティングでの相手は読者です。マネー系の記事のように、専門的な情報を、それを知らない人が役立てることを目的に伝える文章では、読者の立場でものごとを捉え、読者と同じ思考回路で疑問や悩みへの解決を見いだそうとする姿勢で書くと伝わりやすくなります。

専門誌や学術誌など一部を除き、上から教えるスタンスよりは、一緒に考え、答えにたどり着けるよう伴走するスタンスで書くと、伝わる文章に仕上げやすいです。

「お得」は全読者にとってお得なのか

ところで、よく、マネー系の記事では「お得」「儲かる」のような表現を目にします。タイトルや見出しにこうした文言があるとキャッチーで、読みたくなります。ただ、むやみに使いすぎるのは考えものです。

マネー記事は、読者の生活や人生に関わるお金のことを扱います。記事を読んだ人が、記事をきっかけに何かを買うかもしれませんし、投資を始めるかもしれません。誤ったことを伝えれば、読者の人生に悪影響を与えてしまう恐れもあります。誤っていなくても、誤解を与える表現なら、読者にとっては誤った情報として伝わってしまいかねません。

扱うテーマや内容によっては、「絶対お得」「絶対に損」のような表現はできるだけ控えるべきです。

共感があれば、あおらなくても伝わる

このように、自分の文章が誰かの生活や人生の一コマに関わるという意識をもつと、読者の視点が見えやすくなります。抱いている不安や悩みも自分事としてイメージしやすくなります。すると、どんな文章構成がよいのか、どこまで専門用語をかみ砕くか、どんな具体例を出すかも決めやすくなります。

それは、一見するとおもしろみのない記事になってしまうかもしれません。しかし、真に読者に寄り添い、誠実に情報を伝えるうえでは、断定しない方が良いこともあります。内容によっては、ある人にとっては当てはまることでも、他の人にとっては当てはまらないかもしれない。不特定多数の読者が読む記事を書くときは、そんな配慮も必要です。

どこまで興味をもって読んでもらうか? そして、どこまで正しく伝えるか? そのバランスを見極めながら言葉を選び、読みやすい文章を組み立てていくスキルを磨くと、わかりやすくためになる文章に近づきます。

また、家計のこと、保険のこと、税金のことなど、お金に関わる記事はエンターテインメントではないことがほとんどです。しかし、おもしろくなくてもいいと思います。多くの読者はおもしろさを期待しているのではなく、生活を豊かにしたい、人生の備えをしたいといった真剣な思いを抱いて読んでいるからです。

その思いに誠実に答えることができていれば、おもしろみはなくても読んでもらう、役立ててもらうことは十分に可能です。マネー系の記事で伝わる文章とは、なによりも読者のことを考え、読者の疑問や悩みに寄り添い、その答えの一助を届けられる文章だと思います。

難しいことを簡単そうに伝えられると最強

ただ、おもしろくなくてもいいというのは、つまらなくてもいいということではありません。どんなに誠実に正確に伝えても、つまらなければ読者が飽きてしまい、最後まで読んでもらえません。最後まで読んでもらえなければ、知ってもらうべきことを適切に伝えられないまま終わってしまいます。

お金のことはただでさえ難しいと思っている人が多いですから、淡々と説明されただけでは理解できないことが多いです。自分にとって身近な事として関心を持ってもらい、自分の明日の生活に役立てたいと感じてもらえるように仕上げなければなりません。

このため、なかにはマンガやイラストを交え、エンターテインメント性を高めたマネー記事もあります。

しかし、もうひとつ誤解してはいけないのは、おもしろく伝えることと、いい加減に伝えることも全く違うということです。

おもしろくするのは、難しい内容をかみ砕いて説明するためであって、適当に理解できればいいということではありません。かみ砕いても、必ず押さえるべきポイントは外さずに、正確に理解してもらえる表現で伝えるべきです。

これは意外と難しいことです。専門用語を使わずに、専門的なことを説明するのは難しいのと同じです。

難しいことを、簡単なことのようにすらすらと頭に入る、わかりやすい文章で説明できたら、最強です。

伝わるマネーライティングのスキルはどうすれば身につくか?

どうすればそんな文章を書けるか? その絶対的な答えは、簡単には出せません。万人に100%の確率で絶対に効く薬がないのと同じように、必ず誰にでも伝わる文章を書ける方法もありません。これさえあればOK、というスキルも無いと思います。

でも、それを目指すことはできる。常に書き手が読者に思いを馳せ、模索し続けることで、近づいていくものだと考えています。

ときどき立ち止まって、自分の文章を読者目線で見つめ直す。10年書いても、20年書いても、まだゴールにはたどり着けないと感じています。書き続ける限り、その姿勢を続けていくことが大切ではないでしょうか。

(文:マネーステップオフィス株式会社 加藤 梨里)

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