砂糖の摂りすぎへの世界的な対策
2015年、WHOのガイドラインでは成人と子供を一日の砂糖摂取量を全エネルギー摂取量の10%未満、さらなる健康増進に向けては、5%以下、もしくは約25g (6ティーンスプーン)になるよう推奨しています※1。
この砂糖とは、”Free Sugar”といって、単糖類(グルコース、フルクトースなど)や二糖類(スクロースやショ糖)などの「砂糖」を指し、はちみつ、シロップ、濃縮還元フルーツジュースを含みます。
特に甘味飲料摂取の増加が体重増加やカルシウムなどの栄養素の摂取量の低さと関連していることは過去の研究でも示されてきました※2,3。
また、世界的に歯科関連疾患の蔓延が問題になっていることから、砂糖の摂取と虫歯との関連があることも報告されています※4。
甘味飲料の砂糖含有量
私たちが普段口にしている飲み物にはどの程度の砂糖が含まれているでしょうか。メーカーによって栄養成分は異なりますが、メーカーの栄養成分表から下記のような値がみられました。
食品 | 糖類・炭水化物 (スティックシュガー) |
エネルギー |
---|---|---|
砂糖入り缶コーヒー 1本(185ml) |
約7~14g (2~5本) |
65~75kcal |
ミルクティー・ストレートティー ペットボトル1本 |
約15~30g (5~10本) |
140~185kcal |
炭酸飲料 ペットボトル1本 |
約50~55g
(17~18本) |
190~220kcal |
スポーツ飲料 ペットボトル1本 |
約25~30g (8~10本) |
95~125kcal |
※国内では砂糖の量に該当する「糖類」を公表しているメーカーの他、海外が本社であるメーカーの本社のウェブサイトでの値を参考にしています。
※スティックシュガー1本=3g
上記のようにみると、普段何気なく飲んでいる飲み物の砂糖の量がなぜ問題視されているのがわかりますよね。
日本人の摂取量と対策
アメリカでは特に砂糖摂取量を減らすための対策が進んでおり、食生活指針でも砂糖の1日摂取量を総エネルギー量の10%未満を目標に掲げています※5。実際のアメリカ人の砂糖の摂取量に関しては、一日平均270kcal、13%以上であると報告されています※5。
ところで日本はというと、正確な砂糖の摂取量は明らかになっておらず、摂取基準も定められているわけではありません。
ただ、肥満や糖尿病が日本でも大きな問題となっている中では、日ごろの生活の中で何気に飲んでいた甘味飲料に気を付けてみてはいかがでしょうか。
※1 WHO Sugars intake for adults and children Guideline
※2 Vartanian LR et al,. Effects of soft drink consumption on nutrition and health: a systematic review and meta-analysis. Am J Public Health. 2007 Apr;97(4):667-75.
※3 Malik VS et al,. Sugar-sweetened beverages and weight gain in children and adults: a systematic review and meta-analysis. Am J Clin Nutr. 2013 Oct;98(4):1084-102.
※4 Sheiham A, James WP. A reappraisal of the quantitative relationship between sugar intake and dental caries: the need for new criteria for developing goals for sugar intake. BMC Public Health. 2014 Sep 16;14:863.
※5 2015–2020 Dietary Guidelines for Americans
執筆者プロフィール
朴沢広子(ほうざわひろこ)
栄養士、慶應義塾大学院健康マネジメント研究科スポーツマネジメント専修博士課程在籍、慶應義塾大学スポーツ医学研究センター研究員。同大学健康マネジメント研究科修士課程修了後、女子栄養大学にて栄養士を取得。現在、中小企業の勤労者の健康状態、健康行動について研究している。忙しい毎日の中で実践できる、より楽しく、健康的な食事の提案に努めている。
投稿者プロフィール
- お金と健康に関する記事・コンテンツ制作実績1万本以上。ファイナンシャル・プランナー(FP)を中心とした専門家による、家計、ライフプラン、保険など、幅広い生活とお金のコンテンツ制作を行っています。