高額療養費制度の見直しが再検討 2026年8月に所得区分の細分化や年間上限導入の実施を目指す

写真:PhotoAC

2025年3月に見送りとなっていた高額療養費制度の見直しについて、2026年8月実施を目指した再検討が進んでいます。ここでは2025年12月時点での変更案を紹介します。

1ヶ月の自己負担限度額が引き上げへ。さらに課税世帯の区分を細分化へ

見直し案では高額療養費の1ヶ月の自己負担限度額を今年8月から引き上げられる予定となっています。標準的な所得の場合、1ヶ月の上限額が約5,000円引き上げられます。

【年収約370万円~約770万円以下の世帯の場合】
<現行>
月額上限:8万100円+1%

<令和8年8月~>
月額上限:8万5,800円+1%

自己負担限度額は所得に応じた5つの区分ごとに設けられていますが、来年8月からはこの区分も見直される予定です。見直し案では、課税世帯に当たる4区分をそれぞれさらに3区分ずつ細分化し、非課税世帯と合わせて全15区分とする予定です。

標準的な所得世帯の場合、以下のように3区分に細分化される見通しです。

<令和9年8月~>
~約510万円世帯
月額上限:8万5,800円+1%
~約650万円世帯
月額上限:9万8,100円+1%
~約770万円世帯
月額上限:11万400円+1%

70歳以上に適用される外来特例も見直し 所得に応じて1万円前後の引き上げを予定

70歳以上の人には、通院にかかる月々の医療費負担を一定額に抑える「外来特例」というしくみがあります。
この外来特例の上限額も、年金収入などが80万円以上の人は引き上げの対象となります。

<現行>
~約370万円
月額上限:1万8,000円
~約155万円
~約80万円
月額上限:8,000円

<令和8年8月~>
~約370万円
月額上限:2万2,000円
~約155万円
月額上限:1万1,000円
~約80万円
月額上限:8,000円

<令和9年8月~>
~約370万円
月額上限:2万8,000円
~約200万円
月額上限:2万2,000円
~約155万円
月額上限:1万3,000円
~約80万円
月額上限:8,000円(変更なし)

高額療養費制度の対象にならなくても年間負担が軽減される年間上限の新設も

高額療養費制度の見直しでは、長期療養者への配慮として、年間上限の新設も検討されています。

高額療養費制度には、直近12か月に3回以上、医療費が月額上限を上回ると「多数該当」に該当し、4回目以降の上限額が引き下げられるしくみがあります。

制度の見直しにより月額上限が引き上げられることで、これまで制度の対象だった人でも、月の自己負担額が利用条件を満たさなくなり、経済的負担が大きくなるおそれがあります。そうしたケースを考慮して、新たに設けられるのが年間上限です。
高額療養費制度の対象にならない場合でも、年間の負担額がこの年間上限に達すれば、それ以降の自己負担は払い戻しの対象となります。

この年間上限も所得に応じた金額が設定される予定です。

【年収約370万円~約770万円以下の世帯の場合】
<現行>
なし

<令和8年8月~>
年間上限:53万円

これらの高額療養費制度の見直しにより、厚生労働大臣の3月8日の会見によると、健康保険の被保険者1人あたり年間約1,400円の保険料減額が見込まれるとされています。

<出典URL>
厚生労働省「高額療養費制度の見直しについて」
厚生労働省「上野大臣会見概要」

(文:年永亜美/WEBサイトTwitter

投稿者プロフィール

マネーステップオフィス編集部