先日、厚生労働省が、企業に女性の登用について数値目標の設定を義務づけることをお伝えしましたが、(「6年後、東京オリンピックの頃には女性管理職は当たり前になっているかも 女性の登用が法律で義務づけられます」)法案の提出が見送られることになりました。数値目標を公表は義務づけず、女性登用の方針や取り組みなどを示すにとどまります。
数値目標だけが女性の活躍のカギではない?
女性登用の目標数値は、厚生労働省が秋の臨時国会に出す予定の新しい法案に盛り込むものでした。
新法では、従業員約300人以上の大企業に対して、女性登用の「行動計画」を示すことを求めることになっています。ここで、当初は管理職や新人に占める女性比率や男女別の勤続年数といった数値目標を公表するよう義務付ける方向でした。
ところが、経営者側から「数値目標をつくれば安易な数合わせの人事が行われる」、「業種によって女性登用の状況が違う」など批判が相次ぎ、数値目標については義務化を見送ることになりました。女性登用の方針や、取り組みについて明記すればよいということになります。
数値目標の公表を義務づければ、それを達成するために安易に女性を採用したり、本当は実力がない人が出世したりというおそれもあります。もともと女性の多い職種と男性の多い職種では、目標を達成するための難しさも違うでしょう。数字だけが先行して、実際に働く女性も男性も逆に働きにくい状況になるのは避けたい、というのが現場の本音なのかもしれません。
安倍政権の成長戦略では、「2020年に指導的地位に占める女性の割合を30%にする」と目標を宣言しています。これに対して、現状は7.5%(2013年時点)。数字の目標を掲げずに取り組んでいったら、果たして6年後、どれくらいの女性管理職が活躍しているでしょうか?
女性登用の数値目標見送り 厚労省、経営者側に配慮
厚生労働省は27日、秋の臨時国会に出す女性登用を促す新法で、企業に対して女性管理職の比率といった数値目標の設定の義務づけを見送る。目標設定に慎重な経営者側の声に配慮した。企業に公表を義務付ける「行動計画」は女性登用の方針や取り組みなどにとどめる。
厚労省は30日に労使代表が参加する労働政策審議会の分科会を開き、こうした報告書案を示す。近く臨時国会に法案を提出する。
新法の対象となるのは従業員約300人以上の大企業だ。女性登用の「行動計画」に管理職や新人に占める女性比率や男女別の勤続年数といった数値目標を盛り込むかどうかは個々の企業の判断に委ねる。
政府は「2020年に指導的地位に占める女性の割合を30%にする」との目標を掲げている。13年時点では7.5%にとどまっている。
厚労省や労働組合は数値目標の公表の義務化を求めていた。ただ経営者側から「数値目標をつくれば安易な数合わせの人事が行われる」、「業種によって女性登用の状況が違う」など批判が強いため義務化を見送る。
(2014年9月27日 日本経済新聞)
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