【健康コラム】低炭水化物ダイエットは本当に効果があるのか?

低炭水化物ダイエットが近年注目されています。さまざまな情報がありますが、果たして本当に効果はあるのでしょうか。科学的な研究から検証してみましょう。

低炭水化物ダイエットが注目されている理由

低炭水化物ダイエットの定義は特になく、どの程度炭水化物を制限することが低炭水化物ダイエットとなるかは厳密には決まっていません。

従来の研究により、脂質を制限したダイエットと地中海ダイエットをしたグループに比べて、炭水化物を制限したダイエットをしたグループの方が平均の減量が大きかったという結果も出ていることから*1、低炭水化物が減量には効果的であることが注目されるようになりました。

確かにご飯やパン、麺類などの炭水化物は毎回の食事の中でも大きい割合を占めるため、炭水化物を減らせば体重は一気に落ちるかもしれません。

しかし、現在出ている研究結果では一貫して低炭水化物ダイエットが減量に有効であることは明らかになっていません*2,3。

低炭水化物ダイエットの問題点

低炭水化物ダイエットの問題点としては、炭水化物を制限することでおかずを多く摂るため、脂質の摂りすぎになってしまうことや低血糖、脳の唯一の栄養であるブドウ糖の不足などが考えられます。

また、減量のためには、全粒穀物、果物、野菜等、食物繊維が豊富で質のよい糖質を摂ることが効果的であるという研究結果も出ています*4。

栄養の偏りがない食事が大切

様々なダイエット方法が注目されていますが、栄養の偏りがない食事を心がけることが大切ではないでしょうか。自分の食生活の中で何を過剰に摂っていて、何が足りないのかを意識するだけでも大きな食生活の改善になるはずです。

*1 Iris Shai et al.: Weight Loss with a Low-Carbohydrate, Mediterranean, or Low-Fat Diet, N Engl J Med 2008; 359:229-241
*2 El Ghoch M et al.: The Effects of Low-Carbohydrate Diets on Psychosocial Outcomes in Obesity/Overweight: A Systematic Review of Randomized, Controlled Studies., Nutrients. 2016 Jun 29;8(7).
*3 Hashimoto Y et al.: Impact of low-carbohydrate diet on body composition: meta-analysis of randomized controlled studies., Obes Rev. 2016 Jun;17(6):499-509.
*4 Mozaffarian D et al.: Changes in diet and lifestyle and long-term weight gain in women and men., N Engl J Med. 2011;364:2392-404.

執筆者プロフィール

IMG_5693
朴沢広子(ほうざわひろこ)
栄養士、慶應義塾大学院健康マネジメント研究科スポーツマネジメント専修博士課程在籍、慶應義塾大学スポーツ医学研究センター研究員。同大学健康マネジメント研究科修士課程修了後、女子栄養大学にて栄養士を取得。現在、中小企業の勤労者の健康状態、健康行動について研究している。忙しい毎日の中で実践できる、より楽しく、健康的な食事の提案に努めている。

投稿者プロフィール

マネーステップオフィス編集部
マネーステップオフィス編集部マネーステップオフィス編集部
お金と健康に関する記事・コンテンツ制作実績1万本以上。ファイナンシャル・プランナー(FP)を中心とした専門家による、家計、ライフプラン、保険など、幅広い生活とお金のコンテンツ制作を行っています。